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【緊急連載】今、注目したい紫外線とビタミンDの問題(下)

   ビタミンDは骨の形成や免疫、がん抑制効果などが期待され、子どもの健康にも影響すると注目されている。十分に補うには紫外線を浴びたほうがよいといわれているが、果たして本当か。巷に流れる情報と医療認識の違いについて、エイジングスタイル編集長の塩谷医師、皮膚医学の専門家で神戸大学名誉教授・再生未来クリニック院長の市橋医師、栄養学の権威で新宿溝口クリニック院長の溝口医師がそれぞれの立場から語り合った。

ビタミンDを補うには、基本は食事から
ビタミンDを補うには、基本は食事から

   塩谷 ビタミンDを実際にどう摂ればいいのかも、いくつか説がありますね。紫外線を浴びるとビタミンDの血中濃度が増えることから、紫外線を怖がらずに浴びるべきだという話もあります。市橋先生は皮膚科の医師として、紫外線の怖さを訴えていますが、紫外線とビタミンDの関係はどうお考えですか?

   市橋 紫外線を浴びるのは、ビタミンDを増やす利点よりも表皮細胞や一部の真皮細胞の遺伝子に傷がつくリスクのほうが大きいと考えています。現代人は食事で十分に摂取できます。ビタミンDのために紫外線を浴びるなら、顔以外の腕や首などの部分に5分も浴びれば十分です。これは年齢を重ねても同じで、10分以上の日焼けは、皮膚にダメージを与え、逆効果になると考えています。

   塩谷 アメリカなどの必要摂取量はもっと多いですよね。そう考えると5分の紫外線量では少なく感じてしまいますが。

   溝口 アメリカでビタミンDの研究を行っている研究者が教えてくれたのですが、人間に必要なビタミンDの量は実はまだわかっていないそうです。また、紫外線がいいといわれていますが、紫外線を浴びる量が多いサーファーたちの血中ビタミンD濃度を測定してみたら、あまり多くなかったという調査結果もあります。唯一、釣りをする人たちの濃度が高かったというデータもありましたが、これが果たして紫外線の影響なのかは不明です。ビタミンDは魚などにも多く含まれ、さらにタンパク質を多く摂取している人に多い傾向があります。この釣り人たちは、栄養状態が非常によかったという報告もあるので、そちらの影響かもしれませんし。

基本は食事から摂取すれば十分

   市橋 これは極論ですけど、私はまったく紫外線に当たらなくても食物でビタミンDを補えば十分だと思っています。私は長年、紫外線を浴びることができない色素性乾皮症の子どもたちを診てきました。彼らが成人になって、骨への影響なども心配になり、定期的に骨密度や血中のビタミンD濃度などを測定しているのですが、みな正常範囲に入っていました。

   溝口 興味深いお話ですね。その患者さんたちには、ビタミンDを特別に処方などしていないのですか?

   市橋 していないですね。私個人の分析ですが、日本人は欧米人に比べて魚食が多いので、よほど悪い食事をしない限り、補えるのではないかと思っています。

   塩谷 おふたりの意見に相違はないようですね。

   溝口 ただ、不足している人もいます。乳幼児がビタミンD不足でくる病になるケースは指摘されていますね。

   市橋 一般的には不足することは少ないと思うんですが、妊娠中の母親がスレンダーなボディを目指しすぎて偏った食生活を続け、さらに紫外線も気にし過ぎてしまう。こうしてビタミンD不足になった母親が母乳を与えると赤ちゃんもビタミンD不足になり、骨に影響が出るといわれていますね。

   溝口 そういう症例は増えているようです。粉ミルクはビタミンDが含まれているため、母乳よりも栄養バランスがいい場合もあります。ダイエット情報ばかりが先行する弊害ですね。

   塩谷 ダイエットによる痩せすぎ問題はこんな部分にも影響を及ぼしているのですね。最後にまとめますが、ビタミンDを補うには、紫外線よりも食事やサプリメントから摂るべきである。また、ビタミンDやタンパク質を多く含む魚介類を積極的に摂取することが大事である。やはり巷に流れる情報と医療認識には誤差が生じることが多いですね。(まとめ・文/伊藤まなび)

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

市橋 正光
市橋 正光(いちはし まさみつ)

神戸大学名誉教授・再生未来クリニック院長

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