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傷あとはなぜ消せないか

   形成外科外来を訪れる患者さんの大半は「傷あと」の悩みです。ひどいやけどのひきつれから、手術痕、そして他人が見ても分からないようなごく薄い傷、など。程度の差はあれ、皆さん「傷あと」とともに心の傷も抱えておられます。我々、医師としてはできるだけのことはしてあげたい。だが、説明には慎重にならざるを得ないのが現状です。

傷あとはなぜ消せないか
傷あとはなぜ消せないか

   それは、形成外科的手技で「傷あと」は改善できても、跡形なくすることは不可能だからです。なぜか? そのためには、多少専門的な説明が必要になります。切り傷をしたときのことを思い出しましょう。

①傷が浅ければ、ばんそうこうを貼ります。
②1週間ほどすれば、傷はくっつきます。
③そのあと、しばらく赤くミミズ腫れになることもありますが、 半年から1年ほどで薄く白く目立たなくなります。

   これが通常の傷の治り方です。

   例えば、板を二つ万力で押さえたとしましょう。何日も締め上げておいても、万力を外せば板は離れてしまいます。つけるためには間に接着剤が必要ですね。皮膚も同じことがいえます。ただし、皮膚の場合は、ケガをすると自前で接着剤を分泌し、1週間ほどでしっかりくっつきます。この接着剤の働きをする組織を「瘢痕組織(はんこんそしき)」と呼びます。これは、③のミミズ腫れの中味が過剰にできたものです。徐々に体内に吸収されますが、ある程度は残るため、これが「傷あと」として見えるわけです。この「瘢痕組織」が完全になくなれば、キズはまた開いてしまいます。

   瘢痕組織が正常な皮膚に置き換われば「傷あと」は消え、いわゆるスカーレスヒーリング(傷あとのない治癒)になりますが、今の技術ではまだ不可能です。

   そこで患者さんから「傷あとを消して欲しい」と言われたとき、「傷あとは消すことはできません。もっと目立たなくすることはできるかもしれませんが」という説明になってしまうのです。患者さんが「傷あとをなくして」と言ったとき、望んでいるのは「傷が目立たなくなる」ことで、「瘢痕組織をなくして」くれというわけでないことは重々承知の上ですが......。

   僕が理事長を務めるNPO法人創傷治癒センターには、傷や傷あとでお悩みの方の相談を受け付けています。ぜひ、お役立てください。

   NPO法人創傷治癒センター「傷の悩み無料相談

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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