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基礎医学と臨床医学の間

   試験管やマウスは人間ではない。よく言われる話だ。だから、in vitro(分子生物学の実験などにおいて、各種条件が人為的にコントロールされた環境であること)やanimal studies(動物実験)を直接人間に応用させてはならず、よって人間を対象とした実験、臨床試験が必要とされるのだ。

   しかし、世の中には未解決の問題が数多く存在する。臨床医学でもわかってないことはたくさんある。問題は、目の前の患者への判断保留、という選択肢は臨床医にはないことだ。「この問題については研究を重ねて3カ月後にお答えします」とか「これについては来年まで先送りします」という回答は出しにくい。「治療しない」のもひとつの臨床判断なことを考えると、我々は手持ちのコマで「さしあたり」正しいと思える回答を即座に提示しなくてはならないのだ。

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

手持ちの最良のエビデンスを活用すること

   前にも書いたが、エビデンス・ベイスド・メディシンとは、「手持ちの最良のエビデンス(best available evidence)を活用すること」である。ヒトを対象としたデータが皆無であれば、基礎医学のデータを援用するのは当然で、それがbest available evidenceとなる。それを採用しないという選択肢は、当然ある。しかし、検討もしないで無視するのは「ベストを尽くしている」とはいえない。

   もちろん、基礎医学のデータを「そのまんま」臨床に持っていくのもこれまた論外だ。そこには演繹法と帰納法のせめぎ合いが発生する。この曖昧さに耐えて、じっくりと考えぬくのが大切だ。こういうときは性急に答えを出さず、他者の声に耳を傾けてA論もB論も考えぬく。できればベターなC論までアウフヘーベンさせる。

この記事の監修・執筆医師

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