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医者が患者になった日

   「医者は死なない程度の病気をすべき」とはよく聞く言葉ですが、3年前、タクシーの事故で腰の骨を折り、2カ月間ベッドの上で安静を強いられてこの言葉の重みをじっくり噛み締めました。

   それまでは病人は向こう側の人間でしたが、患者の立場から医療サイドを眺めると、いろいろ注文も付けたくなります。もっと早く大病をしておけば、もっとましな医者になれたのではと後悔もしています。

   一言でいえば、今の医療は医療提供者の都合で全てが決められているということです。入院すると、まず朝は6時に叩き起こされます。そして検温、血圧測定。運が悪いとここで採血。吸血鬼に襲われたかのごとく、ドクドク血を吸い取られます。ややあって朝食が運び込まれますが、これが色気のない食事ですなぁ。

   そして朝の回診。「何かご不満は?」と医師から聞かれても、家に帰りたいですとも言えず、「いえ、何も問題はありません」 と、ニッコリとお答えします。

   これで一休みかと思うと、ストレッチャーが運び込まれレントゲン室へ。検査で遅れたランチを済ますと、もう5時。夕食が配膳されます。腹は減ってないが、無理矢理押し込んで10時には消灯。

   外傷なのでこの程度で済んでいますが、もし、がんなどで入院していれば、このほか、CTやMRIそして内視鏡などが待ち構えている。よほど丈夫でないと生き延びられないですな。

   といっても、僕は今流行の「医者たたき」をする気はまったくありません。感謝の気持ちで一杯です。 現行の保険制度ではこれが精一杯。もし、医者が気の済むままに最善の医療に励み、患者さん一人ひとりの望みを叶えていけば、確実に病院は破産してしまうからです。

仰ぎ見れば天使にも見まがう神々しさ...
仰ぎ見れば天使にも見まがう神々しさ...

   ところで僕のような場合には、主治医に会えるのは日に1回か、よくて2回。ま、動かないでいる以外に格別の治療はないからそれもやむを得ない。しかも、仰向けで医師を見上げると威圧感もあり、聞きたいことも聞けなくなる。

   となると、頼りになるのは看護師さん。仰ぎ見れば天使にも見まがう神々しさ。そして無聊(ぶりょう)に苦しむとつい押してしまうのは呼び出しボタン。「何か?」と飛んで来られても、まさか「手を握って」とは言えず、「ここが痛い」とか、「チョットかゆいんだが」とか言っては引き止めにかかる。

   今回は、医師が患者になったときの感想の一端をご紹介しました。[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、アンチエイジング医師団代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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