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就寝時の「明かり」、実はデメリットばかり!? 肥満、うつ病、脳卒中リスクも

   疲れていたので部屋の明かりを消し忘れ寝てしまう、夜更かしをしてついそのまま眠ってしまう、という経験はあるだろうか。

   寝ているのであれば部屋の明るくても問題はないと思うかもしれないが、最近の研究で就寝時の明るさは、注意しなければ心にも体にも大きなダメージを与えることがわかっている。

明るければ明るいほど悪影響

寝る際に電気は必ず切る習慣を
寝る際に電気は必ず切る習慣を

   睡眠時間はたっぷりとっているのに疲れがとれない、よく眠れていないような感覚があるようなら、就寝時の部屋の明るさに問題があるかもしれない。2015年4月に奈良県立医科大学の研究者らが、同県在住の高齢者(平均年齢72.2歳)857人の寝室の照明を光度計(光の強さを測定する装置)で測定。睡眠の質をアンケートと、睡眠時の活動量を計測できるアクティグラフという測定器を用いて評価したところ、就寝時の寝室の明るさに比例して不眠症の発症リスクが高くなり、睡眠効率や睡眠の質が低下するという結果が出ている。睡眠は食事や運動とならび、アンチエイジングに不可欠な要素だ。アンチエイジング医師団の浜中聡子医師は、患者には就寝時に部屋を暗くするよう説明するという。

「若いころは多少明るくてもあまり気にならなかったかもしれませんが、加齢と共に影響を受けやすくなります。部屋の就寝時の明るさは、健康上軽視できない要素だといえるでしょう」

   奈良医大が2013~2014年にかけて、高齢者を対象に照度(人間の感じる光の強さ)ごとの影響を調査した研究では、就寝時に平均5ルクス以上の光を浴びている人はそうでない人と比べ、うつ病の発症率が1.77倍、睡眠障害の発症率が1.75倍となっており、脳卒中の発症率はなんと2.05倍だ。また、平均3ルクス以上の場合は、そうでない人と比べ肥満症や脂質異常(高中性脂血症、高LDL血症、低HDL血症など)の発症リスクが1.9倍になっている。日本規格協会の照度基準によると、5ルクスは室内で新聞が読める、3ルクスで4m先の人の挙動や姿勢が識別できる照度だ。

   肥満と就寝時の明るさの関係は英オックスフォード大学の研究でも指摘されており、2014年5月に、16歳以上の女性約10万人を対象に調査したところ、就寝時に浴びる光が明るいほどBMI(体重を身長の2乗で割って算出する肥満度)が高くなっていたという研究結果が発表されている。運動習慣や食事量など、他の要因の影響を考慮しても結果に変化はなく、明るい部屋で寝ているだけで太ってしまうという。

「真っ暗は不安」 ではどうすれば?

奈良医大の研究結果を踏まえると、就寝時の明るさは3~5ルクス以下がよさそうだが、一般的なデスクスタンドは300~500ルクス、豆電球でも10ルクス程度はあるため、かなり暗めまで明るさを調整できるような照明器具か、寝る際には明かりをすべて切ってしまうのが確実だろう。真っ暗なのは落ち着かない、災害時のことを考えて少しは明かりを確保しておきたい、という人はどうすべきか。
「完全に暗闇にするのに抵抗がある人は、直接光は見えない位置に足元灯などを用意するといいでしょう。遠くに少し明かりが感じられる程度であれば、問題はないと思います」(浜中医師)

   枕やベッドマットなど、睡眠環境を整えることにこだわる人は多くなっているが、部屋の明るさにも要注意だ。[監修/浜中聡子 AACクリニック銀座院長]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

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