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原稿に使えなくなるコトバ

   原稿を書くときに"使えない言葉"というものがあります。テレビやラジオでも"放送禁止用語"がありますよね。その言葉は、常識的に「それは確かに使わないほうがいいね」と納得できるものが多いのですが。

料理、お菓子の分野では
料理、お菓子の分野では"ムース"は一般名称のようですね。これはムースでなく生クリームのフルーツロールケーキ(すべて一般名称)

   常識とはカンケイなく、ビジネス的な理由で増えていく! と、知ったのは1980年代。女性誌の編集部に在籍していたある日、「通知」の書類が回覧されたのです(メールなんてありませんでしたから)。

   シャネル社から「シャネル社のシャネルスーツ以外に"シャネルスーツ"という名前を使わないでほしい」という申し出があり、今後は使用範囲をシャネル社のスーツに限ること。...というような内容でした。

   当時はバブルの芽が出始めたころで、デザイナーがカール・ラガーフェルド氏に代わったシャネルはコレクションのたびに人気が高まっていて雑誌ではシャネル"風"のスーツを「シャネルスーツ」とカテゴライズして紹介していたのです。

   が、このときから「シャネルスーツ」とは、誰もが自由に使える一般名称ではなく、シャネル社の製品の名前だと、メディア関係者に認識されたのです。

   すると、違う言葉で表現することになります。シャネル社以外の"シャネルスーツ"は"衿なしスーツ"などと言い換えた記憶があります。

   ほかに、一般名称みたいだけど実は商品名なのが「マジックテープ」、「マジックペン」など。表現が厳密なNHKではそれぞれ「面テープ」、「油性ペン」と言ってますね。

   まあ、かなり一般名称化していますし、商標登録をしているメーカーさんもうるさくはないので、そのまま使っている雑誌やテレビもあります。

   自社の商品名を守るために商標登録することは大切なことですが、他社の似たような商品には使ってはいけない、ということを厳密に守ると、言葉が使われなくなり、消えてしまうこともあります。

   たとえば化粧品なら、資生堂が登録している「ムース」。泡状の化粧品がたくさん出たとき、"ムースコスメ"はブームになりました。スタイリングムース、洗顔ムース、ムースファンデ、などなど。

   ですが、資生堂が登録してから、資生堂以外の化粧品では使えないので"フォーム"と言い換えるようになりました。現在、"洗顔フォーム"とは普通に言いますが、"洗顔ムース"と言う人は少ないんじゃないかな? 化粧品において"ムース"という言葉は消えてしまったといっていいと思います。

   そしてもう1つ。花王が登録した「シースルー」。書いていて思いましたが、すでに美容や化粧品では使われない言葉になってしまってますね。「シースルー」は、素肌が透けるような薄づきのファンデーションが現れたときに"シースルータイプ"として使われ始めたのです。私も1~2カ月、雑誌2号ぶんの時期に使った記憶があります。

   が、早い時期に花王が「シースルーファンデーション」を登録。それ以降は、今でも使われている"シアーファンデ"という表現に変わったのです。

   こんなふうに、商品名を守ることで、その言葉、表現が使われなくなり、消えることってあるんです。"ムース"なんて言いやすいし語感も可愛いし、使えなくなって本当に残念でした。

   最近では「ヘルスツーリズム」も登録されていることがわかり、えーーー、誰にでもわかりやすいこの言葉が使えないの?!ってちょっとショックでした。医療に限定しない、健康志向の旅を現すのにぴったりなのにね。旅で健康になろう!というムーブメントを広げるためにも言葉の登録が増えすぎないように、と願っています。

   同じ意味を、別の、わかりやすく言いやすく、魅力的な言葉に言い換えるってなかなか大変なんですよ。表現の自由は保障されてはいますが、なかなかどうして"登録"関係が強いのです。

   なんて言い換えようか、むむむ...と考え続けていることもあるのです。ぼーっとしてるように見えるかもですが。

美容・医療ジャーナリスト海野由利子公式ブログ
http://ameblo.jp/uminoyuriko/

この記事の監修・執筆医師

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