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「医療事故」と「医療過誤」の違い

   アメリカでインターンを始めて間もなくの頃、突然病院長に呼び出されました。

「君な、昨日救急で男の子を見たな」
「はぁ、家で頭をぶつけた子ですね」
「何故レントゲンを撮らなかった?」
「軽くぶつけただけで、腫れも内出血もなく、痛みもほとんどなかったので」
「それがいかん。もし、そのあとでまた頭をぶつけて骨折した場合、昨日の事故で骨折を見落としたと言われたら、証拠がないと訴訟で負けてしまう。君な、アメリカは訴訟社会だ。日本とは違う。患者を治療する前にまずカルテを治療すること。これがアメリカ医療の鉄則だ」

「医療事故」と「医療過誤」の違い、ご存知でしょうか?
「医療事故」と「医療過誤」の違い、ご存知でしょうか?

   そのアメリカ医療が日本でも横行し始めました。日常茶飯事のように「医療過誤」が報道されます。医師側の落ち度も多々あるのは残念ですが、「医療事故」との違いを理解しておらず、言いがかりに近い内容もあり、医療側の意欲を喪失させています。まず、「医療事故」と「医療過誤」を区別することから始めましょう。

   医療行為は手術などで人体を傷つけることがあるため、時には予期しない有害結果が生じることがあります。これがいわゆる「医療事故」ですが、中には医療行為の性質上、回避が不可能なものがあります。これは「医療過誤」には入りません。その有害結果が予防、回避可能であるにもかかわらず、医療従事者がその予防・回避措置を怠った場合、「医療過誤」となります。回避不可能な「事故」まで、しばしば「過誤」として扱われることが問題といえます。

   ところで、医療行為を合法的におこなうためには、以下の3つの条件が必要です。

1. 免許を有する資格者が治療目的でおこなうこと
2. 患者がその医療行為を承諾していること
3. 医療行為が現在の医療水準に達していること

   この三要件のひとつでも欠けると、業務上過失傷害(致死)罪などで罰せられる可能性があります。残念ながら最近の事件は、ほとんどが3番目を満たしてないのが実情ですが。

   以上は学士会会報での押田茂實日本大学名誉教授の寄稿を参考にさせていただきました。[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、アンチエイジング医師団代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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