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「君は本当に医者になりたいのか?」

成績が良いだけではダメ
成績が良いだけではダメ

   落第や退学の取り決めは大学によって異なりますが、私が教授をしていた頃の北里大学は、同じ学年を2度繰り返すと、その先は退学でした。

   だが、本人の希望の芽を摘みたくはない。また入学金やそれまでの授業料も馬鹿にはならない。従って退学を本人に通告するのは、学部長のつらい務めです。

   ある時、学部長が僕にこうこぼしました。
「塩谷君よ、なぁ、君の知り合いのA君だが、さっき本人に退学を言い渡したんだ」
「うむ、あの成績ではねぇ」
「A君の親は、僕の友人の開業医で、地方の名士です」
「で、本人がなんと言ったと思う? "これで親も納得するでしょう"だって」

   お分かりですか? 学部長の落胆の原因が。

   医学部の場合、相当数の学生は開業医の子弟というケースが多い。したがって家業を継がせるのが目的で、しばしば本人の意思に反しても......ということが生じます。

   また、昨今は、高校や予備校で偏差値の高い生徒を医学部に進学指導するそうです。これほど無茶なことはありません。

   医師の適性はまず、患者のために尽くしたいという気持ちです。偏差値は二の次です。もちろん高校生の時点で「はっきりした目的意識を持て」といっても無理な場合が多いでしょう。漫然と医学生になっても、患者に接することで医師としての自覚が生まれることも多々あります。それでも医師という職業には向き不向きがあることは確かです。

   無理強いはよくありません。よく、無理に牛を水場まで引きずって行っても、無理やり水を飲ますことはできないと言うでしょう。

   この議論はあくまで医師の適性であって、研究者である医学者の適性とは区別して考える必要があります。

   ある高名なアメリカの医学部教授が教科書の序文に記していたのを思い出します。

医学研究者は「人嫌い」であってもかまわない。しかし臨床医師に絶対必要な資質は「人が好き」ということだ。
と。[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、アンチエイジング医師団代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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