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土を採取する研究者

   ノーベル生理学・医学賞を受賞した、大村智・北里大学特別栄誉教授。

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   いつでも土やカビのサンプルが採れるようにポリエチレンの密封袋(ジップロック的な)を持ち歩いているという報道を聞いて、思い出したことが。

   それは、20年ぐらい前のこと。某大手化粧品メーカーの研究所で研究者の方に取材していました。企画に沿った質問を終えた後、多少時間があったので、その方が今までどんな研究をされてきたのか尋ねてみました。せっかくお目にかかっているので、記事化しないこともうかがうことがあります。

   研究者の視点とか、何を思って研究してらっしゃるのかとか、日の目を見なかった研究やその原因、などなど。取材の相手は記事の情報をいただく方、ではありますが、どんなことをしてきた方なのか、"人となり"も知りたくなるんです。

   すると、

「僕ねぇ、"ヒゲをそらなくていいクリーム"を作ろうと思ったんですよ」

   笑いながら、研究者になったばかりのころの話をしてくださいました。

   この方、肌が弱くてシェーバーやかみそりでかぶれるそうで「ひげが根元から抜けるクリームがあったらいいな」と思ったのだそう。けれど、いわゆる除毛クリームでは肌が荒れるから「微生物の力を利用できないか」と考えます。

   で、「動物園の土には、動物の毛がたくさん落ちているはず。だから"毛を分解する微生物"がいるに違いない」と思い、動物園に行き、毛のある動物の柵のそばの土を採取したのだそうです。

   研究室で分析とか培養をしてみたら......

「見つけたんですよ、毛を分解する微生物を」

   そして、毛を分解する成分を抽出、開発し、試作品が出来上がり、いよいよ、自ら試してみたそうです。

   "ひげそりから解放される日"を想像してワクワクしたでしょうね。その日を、自分で引き寄せられるかもしれない、と。

   で、どうだったんですか?

「それがねー、肌が真っ赤になっちゃって失敗!笑
毛を分解ってことは、たんぱく質(ケラチン)質の分解でしょ。肌もたんぱく質だもん」

と、若かりしご自身を大笑いしてました。

   私も、あははー、なんで気づかなかったんですかー、なんて笑ってましたが、土によって棲んでる微生物が違うこと、化粧品に使える成分をいろいろなところから探してくること、研究者は白衣でずっと研究室にいるわけではないことを知ったのでした。

   土を採取する意味、大村先生のノーベル賞で知られるようになりましたね。

美容・医療ジャーナリスト海野由利子公式ブログ
http://ameblo.jp/uminoyuriko/

この記事の監修・執筆医師

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