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老いと美とエロスについて考える(下)

   前回に続き、老いと美とエロスの関係について考えたいと思います。

いくつになっても、男と女
いくつになっても、男と女

   さて、"美とエロス"はどんな関係でしょう。古代ギリシャ人にとって"美とエロスは同義語だった"ようです。

   古代ギリシャの哲学者であったプラトンは「響宴」の中でさらに立ち入って議論を重ね、上等なエロスと下等なエロスに区分けしています。「上等なエロス」は美をめざし、さらには善に通ずる。「下等なエロス」は今でいうリビドー(Libido)で、猥褻(わいせつ)に堕する、と。

   ただ、この議論はあくまで美の対象が人間の場合に限られているのではと思います。エロティックな景色、淫らな茶器などは考えられませんからね。

   そして"美とエロス"について、僕がいつも思うのは、ポルノとアートの線引きは可能だろうか? ということです。

   例えば、バルテュスの「少女像」を思い起こしてください。股を広げ、下着丸出しの図柄です。見ようによっては、作家はのぞき趣味の変態ではなかったかとも考えられますが、でもこれは絵画市場ではれっきとしたアート作品です。

   こう考えると、西洋美術の基本とされる「ヌード」も怪しくなってきます。あれもあくまで男の視点の産物で、芸術の名を借りてエロ嗜好を正当化しているだけではないか。でも、そもそも美とエロスを分けること自体が無理なのでは......と、ギリシャ人の美とエロスの同一論に戻ってしまいます。

   そして最後は「老いとエロス」という難問。

   これまで特に日本では、年をとれば枯れるもの、セックスなどはいかがわしいという観念がありましたが、高齢化社会にともなって見直しが必要になっています。

   加齢によりすべての機能は衰えます。性機能も例外ではありません。だがそれはリビドーが不要になることを意味しているわけではありません。むしろ仕事のストレス、妊娠の恐れがなくなってリビドーへの抑制がとれるという考えもあります。また、体の活性化や若返りのためにも性ホルモンの重要性は認められてきています。

   そこで、僕の主催するNPO法人アンチエイジングネットワークは「いくつになっても男と女」をモットーに掲げています。これは決して「失楽園」を奨励するわけではありませんが、「大人の男女の付き合い」はどうあるべきか?

   多くの方のご意見をいただきながら、引き続き考えていきたいと思っています。[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、アンチエイジング医師団代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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