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プラハの夢

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   風邪のせいか、頭の芯に眠気が固着しているようだ。そしてその「まどろみ」の空間をいろいろな想念が自由に泳ぎまわる。いや、まどろみではない。英語の「レヴェリー」という言葉がふさわしい感じだ。

   楽しい思い出が想起する満ち足りた感情。ドイツ語だと「トロイメライ」になるようだが、どうもゲルマン的なかっちりした骨格を感じさせてふさわしくない。

   言葉は不思議な生き物である。その国の文化を現しているので、異なった文化の間でピッタリ対比する訳語が探せなくても当たり前だろう。よくドイツ人は、「ゲミュートリッヒ」という言葉はドイツ語にしかないと自慢する。独英辞典を引けば訳語の一つとしてコージーという言葉が出てくる。だがどうもしっくりこない。素人のとり方だが、「ゲミュートリッヒ」だと人から受ける感じがするが、コージーはその場のかもし出す雰囲気が強いように感じられる。

   さて今僕はプラハの町をさまよっている。モルダウ河が街を二分し、間をカレル橋が大きく跨いでいる。左岸には古城がそびえ、その城壁に接したレストランで、右岸の旧市街の展望を楽しみながら、配偶者とチェコ料理を賞味している。そうその日は結婚記念日だった。誰もが言うようにプラハは「懐かしさ」を感じさせる町である。思い出すたびにまた行きたくなる。

   以前は年に数回は海外出張があった。それぞれは楽しい旅であったが、合間は日常に追われあまり思い出す暇もなかった。だが今は現役を退き、せいぜいが年に一回である。その分、抗禁ノイローゼとも言える欲求不満はたまるが、やっと落ち着いてこれまで訪れた海外の街並や自然の景観を反芻できるようになった。

   面白いもので、この際、当時の印象や気持ちを生々しく思い出させてくれるのは、写真とか旅行案内のパンフレットなどより、捨て忘れた現地の店の名入りの買い物袋だの、行きかう人々を漠然と眺めたコーヒーショップのレシートなどである。

   今も僕は、「レヴェリー」のきっかけとなった、プラハという文字の入った安手の黄色のショッピング袋の置き場所を探している。この傾向は配偶者も同じで、そのため我が家は、他人にはいささかの価値もないが、当人たちが処分できないでいる思い出の品で溢れかえって足の踏み場もない。その点でももうこれからは海外旅行は年に一度ぐらいが適当かもしれない。

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この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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