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ステロイド外用薬は「なんだか怖い」? 正しく理解して正しく使おう

近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授の山田秀和氏
近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授の山田秀和氏

   病院で処方されるのに抵抗を感じてしまう薬として、よく名前が挙げられるのが「ステロイド外用薬」、つまりステロイドを含んだ塗り薬だ。湿疹や皮膚炎が出るとよく利用され、市販薬としても販売されているにもかかわらず、拒否感を示す人は少なくない。どうすれば「正しく使う」ことができるのだろうか。

半世紀以上使用されている抗炎症薬

   ステロイドを含む薬は「ステロイド剤」と呼ばれ、経口するものから注射まで形状はさまざまだ。皮膚科や眼科、耳鼻科で処方される塗り薬や噴霧剤、吸入剤タイプのものは「ステロイド外用薬」と呼ばれる。ステロイド外用薬は近年使われだしたわけではなく、半世紀以上前からその高い抗炎症作用が確認され、皮膚科の外用治療でもごく一般的に使われていた。皮膚科専門医としてステロイド外用薬を処方する立場にある、アンチエイジング医師団の山田秀和医師は、その安全性は高く、子どもはもちろん妊娠中の女性ですら、適切な管理下で使用していれば問題ないと言う。

   日本皮膚科学会や日本アレルギー学会によって、ステロイド外用薬のガイドラインが作られており、その中でも安全な使用法が明記されている。

   「ステロイド外用薬は不安、というイメージが急速に広がったのは20年ほど前、テレビ番組が、ステロイド剤の副作用を盛んに取り上げたことが発端です。当時はガイドラインも未整備で、患者の不安感が大きかったことも要因でしょう」(山田医師)

   外用薬に対する、いわゆる「ステロイドバッシング」では、主に全身投与する経口剤や注射に見られる、感染症や副腎皮質機能不全、糖尿病、骨粗鬆症といった副作用を取り上げていた例もあった。外用薬でも大量に長期使用すれば、そのような副作用が出ることもあるが、当時はそれが正しく伝わらなかった。局所副作用(塗布した場所に出る副作用)があることは、皮膚科学会が認めており、「ニキビ」「皮膚萎縮」「多毛」「細菌・真菌・ウィルスによる皮膚感染症」といった症状が起きる可能性を指摘している。

   ただし、ステロイドを塗ると必ず副作用が出るというわけではない。そもそも、外部に晒されている器官である皮膚は、環境の影響を受けやすく、副作用とされる症状が、薬によるものか、別の要因があるのか、患者による自己診断はほぼ不可能だ。

   「ステロイド外用薬の使用は、『診断ありき』です。医師は経過を注意深く観察し、皮膚の変化や外用薬の影響を見て、使用の続行や中止を判断します。最初から強い薬を処方されると、不安に思う方もいらっしゃいますが、疾患の重さに応じて必要なステロイドの強さは変わります。細かく言えば、患者さんの体質によっても効き方に差が出ますから、ますます診断が重要となるのです」(山田医師)

   医師の指示に従って、適切な量と回数を守って使用することも大切だという。そうなれば、信頼できる医師を見極める方法はないのか。

   「基本は日本皮膚科学会認定の『専門医』を受診することです。症状が治まったから通院をやめたり、逆に、なかなか治まらないから塗り続けたりなど、自己判断するのはおすすめできません」(山田医師)

市販薬は1日2回3日まで

   医師の診察を受けて処方される外用薬は、医師の指示に従うとして、市販薬の場合はどうすればいいのだろうか。ステロイドは比較的弱めにはなっているようだが、強弱や濃度の表記があいまいな製品も少なくない。

   ドラッグストアでの購入時に、「ステロイドが含まれるので、注意して使用してください」などと言われることもあり、不安に感じることがあるのも事実だ。

   ステロイド使用と記載されている市販外用薬の使用説明書を読んでみると、大半の製品は1週間程度が試用期間の目安になっており、使用量や使用回数も細かく記載はされている。

   これまで、アトピーやステロイド剤についても多く取材してきた美容・医療ジャーナリストの海野由利子氏は、
「市販されている塗り薬は『強~弱』までの段階があります。自分でどれがいいか分からないときは、薬局で薬剤師に相談するといいでしょう。大切なのは、症状の度合いと、薬の強さ、塗る量の指示を守ることです」
とアドバイスする。日本皮膚科学会ウェブサイトのQ&A(アトピー性皮膚炎の欄)も参考になる。

   山田医師は、「市販薬は1日2回、3日間まで」と患者に伝えているという。
「3日使用して症状に変化がなければ、皮膚科の診察を受けてください。それまでに症状が治まれば、使用をやめればよいでしょう」
もちろん、使用期限が切れた薬をどこからか引っ張り出して塗る、といった使い方はNGだ。

疾患と副作用のバランスを考える

   ステロイド外用薬を使用する上で重要なのは、治療したい疾患と発生する可能性のある副作用のバランスをどう考えるかだ。
「最近の研究で、短期間で症状が改善した場合は副作用の心配はそれほどありませんが、治療が長引くと肌のバリア機能が弱くなり、ほかのアレルギー疾患が起きやすくなることがわかってきました」(山田医師)

   生死に関わる重篤な疾患であれば、多少の副作用がある治療薬でも使用したいと考えるかもしれないが、命に関わる湿疹や皮膚炎はまずない。そうなると、患者としては、「治療するのはいいが副作用があるのは困る」、「使わないでほしい」、と考えてしまう場合もあるだろう。長期間使用する必要のあるアトピー性皮膚炎の患者などであれば、より不安感を覚えるかもしれない。

   「もちろん、強い不安感を持っている人に、ステロイド外用薬を強要はしません。納得せず、嫌々使用していては、効果も出ないかもしれません」(山田医師)

   しかし、近年の研究では、アレルギーに起因する症状は、早い段階で治療したほうがよいと指摘されている。
「食物アレルギーを例に挙げると、原因となる食物を避けさえすれば、アレルギー症状は治まるでしょう。しかし、体からアレルギー疾患が消えたわけではありません。特に小児で食物アレルギーを合併するアトピー性皮膚炎も同様です」(山田医師)

   部分的な症状や副作用だけで疾患を捉えるのか、全身の問題として捉えるのか。ステロイド外用薬に不安を覚えたとき、疾患との向き合い方を考えてみてはどうだろうか。[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

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