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「不安」は進化の初期に獲得した感覚か ハエも不安を感じていたことが判明

一寸の虫にも不安感(画像はイメージ
一寸の虫にも不安感(画像はイメージ)

   シンガポール、デューク大学・国立シンガポール大学医学大学院のファルハーン・モハマド氏とシンガポール科学技術研究庁の共同研究チームは、ハエも哺乳類と同様に「不安」を感じており、抗不安薬を処方すると、不安が解消されることを確認したと発表した。

   「不安」は、何かを心配したり、恐怖したりする感覚のことで、そのメカニズムは不明な点も多く、特に脳において、発生や抑制がどのように制御されているのかは、ほとんどわかっていない。

   不安自体は疾患ではないが、過剰な不安から、身体や精神の健康に悪影響を及ぼす「不安障害」が引き起こされることがある。

   モハマド氏らは、マウスを利用して不安の研究をおこなっていたが、別の実験で使用していたショウジョウバエが、特定の環境下で、不安を感じているマウスと同じように、飼育かごの壁に沿って歩き回っていることに注目。

   「ハエも不安を感じているのではないか」と仮定し、飼育かごの壁を加熱した場合と、していない場合のハエの行動を比較した。すると、加熱されたときのハエは、加熱されてないときに比べ、壁に沿って歩き回る頻度が多くなっていた。

   また、複数の個体と一緒に飼育していたハエを、1匹だけの環境に移した場合も、壁に沿って歩き回る頻度が増加したという。これらのハエのエサに、抗不安薬「ジアゼパム」を混ぜて与えたところ、壁に沿って歩き回る頻度が明らかに低下し、ハエがマウスや人間と同じように、不安を覚えていることが確認された。

   モハマド氏はこの結果から、「不安は、哺乳類など知能の高い生物に限られた感覚ではなく、少なくともハエと人間の共通の祖先から引き継いだ、遺伝進化的に古いものと推測される」とコメント。今後、マウスや人に加え、ハエも利用して不安のメカニズムの解析を進めていくとしている。

   発表は、2016年3月24日、分子生物学の専門誌「Current Biology」オンライン版に掲載された。

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参考文献
Ancient Anxiety Pathways Influence Drosophila Defense Behaviors.
DOI: 10.1016/j.cub.2016.02.031 PMID: 27020741

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