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毎日やろう、ICNのための英語講座5

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

   No English, no presentation

   毎週金曜日は、ICNと英語についてのコラムです。環境感染学会は時々行きますが、その膨大な発表数には驚きます。もちっとちゃんと査読して、質の高い発表に絞ればいいのに。あれじゃ学芸会みたいだ。え?学芸会じゃなくて、同窓会ですって?そんな本当のことを、、、、

   日本ではデビュー戦をユルユルにする悪い癖があります。医者の学会発表も最初は地方会の症例報告なのが通例ですが、そこでの発表の質が非常に悪い。だから、「学会発表なんてこんなもんか」と錯覚してしまいます。質の低い発表量産させるくらいなら、地方会なんてやらなきゃいいのに、、、、

   ぼくが初めて学会発表したのは確か2000年(だったかな?)のSHEAでした。結核隔離についての研究でしたが、それはそれは厳しいリハーサルの連続でした。ほんと、泣きそうでしたよ。当時のぼくは英語がとても苦手だったこともあり、オーラルの発表はめっちゃハードル高かったんです。でも、これは後に論文化もできましたし、頑張りがいはありました。

   http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=9400072&fileId=S0195941700081418

   いずれにしても、学会発表はデビュー戦が大事です。ちゃんと正しい方法論を教え、きちんとした発表方法を習わねばなりません。症例報告でもなんでも、学術的に正しい発表をせねばなりません。「こんな症例みつけました」とか「うちの病院、こうなってます」といった「夏休みの絵日記」みたいな発表をしてはいけません。

   ところで最近、あるICNに 「私は環境感染学会で何度も発表しています。でも、英語の論文は一度も読んだことがありません」  といわれてぼくは気絶しそうなくらいに大きなショックを受けました。一瞬、気絶してたかもしれません。

   どうしてかというと、研究の第一歩は研究のための質問(research questionといいます)をすることで、第二歩は「先行研究を全部読む」ことだからです。「全部」読まねばならないのですから、その中に英語の論文が入っていないはずがありません。

   先人がやった研究を全部読んで初めて、自分がその研究をする意味があるかが分かります。過去にすでに行われた研究だったら、もう繰り返す意味はありません。意味がないのにカルテを開いたり、培養データを閲覧して患者の個人情報を扱うのは倫理的ではありません。ぼくは去年まで倫理委員会の委員長でしたが、先行研究レビューゼロの研究計画書は必ず突き返します。そういう研究は、非倫理的だからです。

   とまあ、このへんは研究のイロハ、ABCなんです。なのにそれをICNに教えもせず、「とりあえず、環境感染学会にポスター出してみなよ」と促す指導者がいけないんです(ヽ(`Д´)ノプンプン)。

   この気絶のエピソードが、このブログの連載を始めることにした理由です。何週間がんばれるでしょうか。ぼくもがんばりますので、皆さん、来週もがんばってください。環境感染学会で、「ちゃんとした発表」ができるためにも。[楽園はこちら側 2016年5月20日掲載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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