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老人は病気がちではない

   そろそろ医学部のクラス会の日が近づいてきた。例年出席率は20~30%と集まりは悪くはない。僕らは昭和30年の卒業で、卒業時は108名だった。卒業時の平均年齢は25、6歳だから、今年で84〜87歳。みなとっくに傘寿は過ぎている。

   ここでいいたいのは、今残っている連中は、クラス会の欠席者も含めてほとんどが健康体で、病気がちは人などあまりいないことである。「そりゃ医者だから健康管理はお手のもの」といわれるかもしれないが、実情は正反対。医者の不養生とはよくいったものである。例えば、僕が北里大学にいた頃は、定期検診の受診率が最低だと保健所からいつも指導を受けるのが医学部の教員だった。

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   それなのになぜ、健康でいられるのか。ひとついえることは、みな仕事でもアクティブである。始めから開業していれば別だが、大学や病院の勤務医なら60から65歳で一度は退職しているはずである。だが、ほとんどが客員教授や顧問医などで医者を続けている。まあ、定年後も自分の専門に関われるのは医師という職業のメリットかもしれないが。

   1クラス100人もいれば、なかに傑物や変り種が何人かいても不思議はない。外科を志し天皇陛下の手術を担当した人や、男性ホルモンの研究にのめりこみ、男だって更年期があるぞと唱えている人もいる。また、耳鼻科医のはずが百人一首に凝って、教養部の学生に日本文学を教え始めた人もいる。

   平均余命が延びても、病気がちでは社会の負担にもなるし、本人も幸せとはいえない。確かに若者に比べて体力は劣るかもしれない。だが、どこまで自活できるかが大切である。

   老人の自活や自立といったとき、二つのレベルが考えられる。
①最低限の身の回り......食事、着替え、排便等
②それ以外のこと.........食事の準備、買い物、家の掃除、読んだり書いたり等
この二つをまとめて自活とした場合、前述のマッカーサー財団の報告では、65歳に達した人達は、そのあとのかなりの期間、自活可能な健康体であり、ケアが必要になる層が増えるのは85歳以降ということだった。

   日本でも同様な報告がある。つまり平均寿命が延びるということは、健康な老人が増えることであり、かならずしもボケ老人の層が厚くなることではないということを声を大にしていいたい。

[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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