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毎日やろう、ICNのための英語講座19

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

   ラインの交換は72~96時間おき? その8

   さ、前回見つけたシステマティック・レビューです。さっそく読んでみましょう。本当は論文を全部ちゃんと読むのが「すじ」ですが、これは「ICNのための英語講座」ですので、そんなに厳しいこと言わんと、まずは結論だけ読みます。

M「EBMの講習会とかで、「結論だけ読むな」ってよく言われますよ」
I「厳しいツッコミですね。おっしゃるとおりなんですけど、まずは英語学習はじめたばっかなので、そうガチガチにやらないのも大事です」
M「甘いの大好き」
I「甘えすぎないでくださいね」

   結論をConclusionsといいます。この論文は少し変わっていて、「Authors' conclusions」、「著者らの結論」という書き方になっています。Authorは著者、複数の著者がいるのでSをつけてAuthorsです。「~の」はアポストロフィにSをつけますが、単著ならAuthor'sとなりますが、複数形のAuthorsだと、アポストロフィがあとについて、「Authors'」となります。細いですが、いずれ論文書くときに大事になりますから、抑えておきましょう。

M「いずれ論文書くんですか???初耳?!」
I「この連載の目標は、英語での論文執筆とAPICやSHEAでの発表です。聞いてませんでした?」
M「初耳?!!」

   さて、結論にはこう書いてあります。
The review found no evidence to support changing catheters every 72 to 96 hours.

   このレビュー(review)では、found no evidence、、、エビデンスを見つけることができなかった。で、どんなエビデンスか、というと、to support changing catheters every 72 to 96 hours、72から96時間おきにカテーテルを変えることを支持する(to support)ようなエビデンスってことです。

M「いきなり、問題の核心ですね」
I「英語では、問題の核心から入って、その後細かな説明です。この基本的なリズムを体に叩き込んでください」

   Consequently, healthcare organisations may consider changing to a policy whereby catheters are changed only if clinically indicated.

   Consequentlyは「それ故に」という意味。healthcare organisationsはここでは「医療機関」でいいでしょう。organisationはイギリス英語で、アメリカ英語ならsがzになってorganizationとなります。医療機関はmay consider changing to a policy、、、つまり「方針を変えても良い」ってことです。

   policyはポリシー、方針とかやり方って意味です。mayは「~してもよい」って助動詞でした。wherebyは難しい関係副詞ですが、要するに「ていうか~」という説明が続きます。どんな方針かというと、catheters are changed only if clinically indicated、、、つまり、臨床的に必要なときだけカテを変える(という方針)という意味。論文の結論を使って、医療機関はCDCのガイドラインではない方針、ルーチンでカテを変えない方針にしてよいですよってことです。

   さらに、
This would provide significant cost savings and would spare patients the unnecessary pain of routine re-sites in the absence of clinical indications.

   thisは先に述べた「方針(policy)」のこと。This would provide significant cost savingsは、とてつもない費用節約(cost savings)になるだろうってことです。significantは重大な、という意味。Wouldは「~するであろう」って意味です。must, will, wouldの順で確実性が弱くなっていきますから、ちょっと弱腰な発言をしています。

   まだ続きます。and would はThis (この方針)に続くwouldでして、spare patients the unnecessary pain 、、、患者に不要な痛みを与えなくてすむってことです。Spareは「なしですます」ということ。スペア・タイヤのスペア、ボーリングのスペアです。

   で、of 以下はpain(痛み)の説明、、、「ていうか~」です。pain of routine re-sitesは、カテのルーチン入れ替えの痛みってこと。re-siteは「場所を移動させること」という意味です。

   で、さらに「ていうか~」で説明です。in the absence of clinical indication、、、臨床的な適応なしで、ってこと。absenceは「~なし」という意味。

   もう少し。 ここではさらに補足説明があります。

   To minimise peripheral catheter-related complications, the insertion site should be inspected at each shift change and the catheter removed if signs of inflammation, infiltration, or blockage are present.

   to minimise peripheral catheter-related complicationsは、「カテーテル関連合併症を最小限にするために」という意味。minimiseは「最小限にする」、イギリス英語です。アメリカ英語なら「minimize」。complicationsは「合併症」です。「こんぷりけーしょん」と読み、「け」にアクセントがあります。

   the insertion site should be inspected、、、は「挿入部位は観察すべきだ」ってこと。Insertion siteが「挿入部位」、inspectは「観察する」。should be inspected「されるべきだ」という受け身形なんだけど、「されるべきだ」という訳語はカッコ悪いので日本語なら「するべきだ」にするべきだ。

   At each shift changeは「各シフトごとに」という意味。1日1回の観察じゃ、足りないんです。

   それから、
the catheter removed if signs of inflammation, infiltration, or blockage are present

   はif以下のことがあったらカテーテルは抜去(remove)しなさいってこと。The catheter should be removedが省略されてんです。で、if 以下は
signs of~の徴候があれば、、、で、inflammation(炎症)、infiltration(ここでは液漏れ)、blockage(詰まること)があれば(are present)ってこと。ちゃんとカテをシフトごとに観察し、炎症とか液漏れとか詰まったりしてたら交換しましょう。でもそういうのがなければルーチンで交換する必要はありませんよってことです。

M「うーん。うちの病院だとカテの観察、そんなにきちんとやってないかも」
I「でも、ルーチンの交換をしたからといって、カテの観察が不要になるわけではないですからね」
M「確かに」
I「ま、ナースだけでなく、ドクターもデバイスの挿入部の観察は毎日行わねばなりません。自分の患者の腕が真っ赤っ赤に腫れて、静脈がゴリゴリと固くなってるなんて、医療者として「恥」と考えるべきです」
M「確かに」
I「さ、これでエビデンスに基づくカテ管理ができそうですか?」
M「さっそく会議にかけますね」

   英語は難しくありません。少しずつ学んでいきましょう。

今日のポイント
・最新のエビデンスに基づけば、ルーチンでの末梢カテ交換は不要
・その代わり、シフトごとの挿入部位の観察は必須。

今日学んだ単語:conclusions, author, authors', review, support, consequently, healthcare organization, policy, may, would, cost saving, significant, spare, absence, minimize, insertion site, inspect, remove, signs of, inflammation, infiltration, blockage, present

[楽園はこちら側 2016年6月9日掲載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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