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老人は本当に非生産的なのか?

   参院選を夏に控え、毎日新聞が行った政治意識アンケートによると、参院選で最も重視する争点の1位は「年金・医療」だった。日本が抱える年金問題は、多くの若者を不安にさせている。

高齢者が活躍する場はたくさんある(写真はイメージ)
高齢者が活躍する場はたくさんある(写真はイメージ)

   「ろくに働きもしないくせに、年金だけはもらってのうのうとしていている」「どうせ、俺たちが年をとる頃は、日本は破産して、年金などなくなっちゃう。ばかばかしくて払えるか」と年金を納めない若者が増えているという。

   その気持ちは分からなくもないが、それでは、働いて役に立とうと思うと、老いぼれがなぜ、俺たちの稼ぎ場所を奪うのかとわめく。

   そんなことはない? それじゃ、なぜ定年制度など設けるのか。

   これは年齢による差別ではないか。そういえばアメリカではとうに年齢による差別は撤廃され、法律上定年制度は廃止された。働く場を与えられないまま、ムダ飯を食ってと怒られては立つ瀬がない。もちろん、とっくに定年を過ぎても、自分勝手に規則を変え「余人を持って変え難し」と、居座ってひんしゅくを買っている老人もいないではないが。

   老人が非生産的という勘違いの一番の原因は、生産性の基準が間違っているからだと僕は思う。

   今のGDPの算出は、給与か代価としての金銭の動きがないと計算されない。ボランティア活動やコミュニティーサービスなどはいくら働いても、社会に貢献しても生産的とは考えてもらえないのだ。

   例えば、孫のお守り。その間に娘は会社で働いて給与をもらっても、それは娘の生産性に寄与するだけで、親がベビーシッターをするのは非生産的ということになる。これは主婦の労働についても同じことがいえる。

   もっとわかりやすい例を作ろう。隣同士で老人がベビーシッターをしたとしよう。そしてお互いに同額の金額の謝礼を払ったこととして、実際には相殺とする。この場合は、形の上ではある金額、つまり収益が動いているわけで、生産的であり、GDPに寄与したことになる。なんとも奇妙なことではないだろうか。

   つまり、所得発生にこだわらなければ、年金暮らしの老人も生産性を発揮しているのである。

[執筆/塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長

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