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毎日やろう、感染対策者のための英語講座44

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

   教科書は英語ですか?8

W「『病気がみえる』だと構造的に誤診したり、治療を間違えたりする可能性が高いのは、I先生のおっしゃるとおりだと思います。でも、"程度"の問題がちゃんと記載されていれば、別に日本語の教科書だって構わないんでしょ」

I「おっしゃるとおりです。こと診療のテキストに関する限り、役に立ちさえすればそれが英語なのか、日本語なのか、スワヒリ語なのかは関係ありません。最近は日本語でも信頼度の高い医学書がたくさん出版されています」

W「ですよね」

I「その一方で、診療における信頼度という点からいうと、ハリソンのレベルの教科書はなかなか日本では見られないのもまた事実です。網羅的に調査したわけではないですが、図書館で日本の内科学の教科書をパラパラめくると、"ちゃんと書いてないなあ"と思うことが多いです。例えば、先の細菌性髄膜炎。ハリソンには

When bacterial meningitis is suspected, blood cultures should be immediately obtained and empirical antimicrobial and adjunctive dexamethasone therapy initiated without delay.

と書いてあります。immediatelyは"即座に"の意味。"いみーでぃえーとりー"と読みます。"み"にアクセントがあります。血液培養(blood cultures)は髄膜炎診療の基本中の基本ですが、このような"いろは"の記載がない教科書はとても多いです。例えば、中山書店の内科学書改定第8版(2013)には血液培養の記載は全くありません。朝倉書店の内科学(10版、2013)には記載がありますが"ただちに」"という記載やニュアンスはありません」

M「『病気がみえる』には血液培養の記載はありますね」

I「はい、医学生が一番使っているテキストなので今回は『病気がみえる』を例にあげましたが、『病気がみえる』が全然間違いだらけの本だとは思いません。明日その話はしますが、長所も多いと思います」

W「どの教科書にもよいところと悪いところがあるってことですね」

I「その通り。逆にハリソンはアメリカで使うのを前提として作られた教科書なので、アメリカでまれな日本脳炎やツツガムシ病なんかの記載は弱いと思います。こういう病気では日本のテキストのほうがベターなことも多いです」

W「なるほど。是々非々ってことですね」

I「そう。でもですね、その是々非々っていうことが分かるためには、ちゃんと英語のテキストが読めて、そして比較をしたあとで初めて言えることなんです。『病気がみえる』の欠点も長所も、他者との比較で初めて分かります。日本のテキストの利点も欠点も外国の教科書との比較をして初めて四の五の言えるわけです。よく英語のテキストなんて要らない、て人がいますが、要らないかどうかは読んでみないと分からないはずなんですよ」

W「うう、耳が痛い」
M「ううう、耳が痛い」

   英語は難しくありません。少しずつ学んでいきましょう。

今日のポイント
・英語のテキストが有用かどうか。欠点があるかどうかは、読んでみないとわからない。
・日本のテキストの利点も欠点も、外国のテキストとの比較で初めて分かる。

今日学んだ単語:immediately, blood cultures

[楽園はこちら側 2016年7月14日掲載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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