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毎日やろう、感染対策者のための英語講座90

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

   毎週金曜日は、感染対策と英語についてのコラムです。

I「MさんはCNICなんですが、ICNともよく呼ばれますよね」
M「あんま、そこは気にしてませんが」
I「そうなんです。この業界ではやたら"正しい言葉"にこだわりたがる人が多いですが、言葉はどんどん変化していくものなので、その都度"正しさ"のあり方も変わってくるんです」

M「なんか、難しいですね」
I「ほら、秋葉原ってあるでしょ。あれってもともとは"あきばはら"だったんです。それが誰かの言い間違いが定着して、いつの間にか"あきはばら"になりました。山茶花もそうですね。あれも普通に読めば"さんざか"のはずです」
M「ほんまや」

I「こうやって"いいまつがい"が定着しちゃって"間違い"が"正しく"なることってわりと多いんです。ようは、皆が使ってて誤解が生じなければ、その言葉は"正しい"」
M「な~るほど」
I「辞書に書いてあるから正しい、のではなく、正しくなったから辞書に載るようになるんです。英語でも同じで、昔はE-mailとかe-mailが正しくてemailというハイフンなしの表記は"間違い"と言われていましたが、今はemailのほうも辞書に載るようになっているとか。まあ、書き手としてはハイフンない方が楽ですもんね」
M「そうですねえ」

I「間違ってると悪評の"ら抜き言葉"も定着すれば"正しい"言葉になる可能性が高いです。よく考えてみたら、"見られる"という言葉は"受け身"(だれかに見られる)と"可能"(見ることができる)の両方の意味があって紛らわしい。ら抜きにして"見れる"ならばこのような誤解は生じません。"ら抜き言葉"って合理的なんです」

M「抗生物質とか、抗生剤も"間違いじゃない"ってI先生よく言ってますもんね」
I「そうですね。昔は微生物が作ってるのが抗生物質と呼んでいましたが、そもそも世界最初の抗菌薬、サルバルサンは当初"化学療法(Chemotherapie)"と呼ばれていました。でも、語源に忠実に"いまから化学療法やって"とか言ったら現場では誤解の元でしょ。antibioticsという英語は直訳すると"抗生物質"ですが、Goodman & Gilmanみたいな薬理学の教科書でも新しい版ではantibioticsを抗生剤とも抗菌薬とも取れるように解釈しています。まあ、ユーザー目線でいうと、自然界から抽出されようが合成されようが関係ないですからね。言葉の意味は、ユーザーに便利なように変わっていくのです」

M「ほんとですね」
I「じゃ、今回はこれでおしまい」
M「オチはないの?」
I「関西人、ってボケとオチがないと許してくれませんね」

[楽園はこちら側 2016年10月21日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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