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「美しさ」を照明デザインで変えることはできるか Aging Style × GOOD DESIGNトークレポート(4)

照明は人間の認識に大きな影響を与える

   トークセッションで川畑氏が指摘したのは、照明デザインならではの美だ。例えば、照明は空間や人間を照らし出すという機能が前提になっているので、誰しも文化などに関係なく体験できる。一方で、茶道で用いる茶碗の評価については文化差の影響が大きく、初めて和食や茶碗に触れる外国人が、すんなりと「美しい」と考えるのは難しい。機能や意味が共有、理解されて初めて「美しい」となるからだ。

   「我々の脳は曖昧さを解決しようとします。視覚的な情報が少ない場合、それを補うために聴覚や触覚の情報をより使うようになる。照明で明暗の変化をつけることで、視覚以外の他の感覚からも、美しさが受ける影響は大きいでしょう」(川畑氏)

   「視覚で説明されることは重要だが、し過ぎることはダメだと、照明デザイナーとしてはいつも考えている。美術館や博物館などは照明に明暗によって興味を持続させようとしている好例では。説明だけでは時間がもたない」(武石氏)

   実際に、美の感じ方は時間と共に変化する、「博物館疲労」という現象が確認されている。絵画などをただ見ているだけでは、いくつか絵画をみたところで、ひとつの作品に対する鑑賞時間が少なくなってしまうというもので、動物園や水族館でも確認されている。

   人間は何かに持続して注意を向け続けるのは難しく、変化をつけないと人が飽きてしまうのだ。変化の付け方として、照明の可能性はとても大きい。さらに川畑氏は印象そのものの変化も、照明でできるのではないかと指摘する。

   「感覚情報が強いほど、印象や美的な感じが強いとは限りません。その場の臨場感は強くても、記憶に残らない。少しだけどちらかの感覚を弱める方が印象に残りやすいこともある。注意を向けたい方だけ強めてもう一方は弱める、といった役割を照明が果たせるのではないでしょうか」(川畑氏)

   武石氏も、滞在時間が長い高級なレストランなどは照明が暗いという例を紹介した。
「ただ食べるだけでなく、体験や会話を楽しみに来る。つまり、明るいと料理を説明しすぎて、それ以外のことが楽しめません。その逆に、時間の概念がないコンビニなどはとても明るく設定されていますね」(武石氏)

   このほかに、赤い肌は紅潮して見え、黄色は栄養がいきわたって見えるので、健康的に見える照明も今後提案されていくのでは、という意見も出された。

医師・専門家が監修 医療・健康・美容情報サイト「Aging Style」

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Aging Style×GOOD DESIGNトークレポート(9)

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