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誰でもできる研修医指導4

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

S「D先生、他科志望の研修医を教える理由って他にもあるんですか?」
D「もちろんだ、そっちのほうがむしろ大事といってよい」
S「いったい、なんですか?」

D「さっきも言ったろ。これからの医者はポリバレントじゃなきゃいけない。外科医であっても基本的な発熱ワークアップや、無尿・乏尿の評価、血液ガスの解釈とかは"ちゃんと"できるべきだ」
S「そうですね」

D「ということは、だ。外科患者の内科的合併症が起きても、彼らが自分たちできちんとマネジできるチャンスが増えるってことだ。それは俺たちがコンサルトを受ける可能性が小さくなることを意味している。仕事が減るんだよ」
S「あ~、確かに。楽になりますね。日本ではコンサルトに診療報酬、つかないですしね」

D「いいか。楽になりたかったら、努力しろ。楽になるための努力を惜しむな。外科志望の研修医を一所懸命に指導しておけば、長期的にはもっと楽ができるんだよ」
S「確かに、D先生は楽をするための努力は惜しみませんよね。無駄な書類や会議をなくすためなら、何時間でも事務方とかと喧嘩、、、、いや、議論しますもんね」
D「そうだよ。本当の怠け者は、勤勉なんだよ」
S「うわ、長谷川豊だ」

D「長谷川言うなちゅうに!逆もまた真なりで、俺は外科のローテは今でもとても役に立っている。外科の先生に相談するときも術前の評価とかあらかじめやっとけるし、アスピリン止めとくとか、いろいろな配慮もできるようになる。なによりも、外科医を呼ばなくてよいときに、外科医を呼ばないという配慮ができるようになる。無駄に呼ばれるのが一番疲れるからな」
S「なるほど」

D「初期研修医の時に外科系を数ヶ月まわったくらいでオペができるようになるわけがない。また、内科医がオペなんてできなくても別に構わない。でも、外科医のメンタリティーや思考プロセス、大事にしている価値観、踏んではいけない地雷とかは、数カ月もあれば感得することができる。そうしたところに配慮するだけでも、彼らの仕事はずっと楽になるはずだ」
S「ウィン・ウィンの関係ですね」

D「これからはチーム医療の時代だ。自分だけでスタンドアローンで全部やる、の時代は終わったんだよ。他科にいく学生や研修医だっていつか自分の患者と診療を助けてくれるチームの仲間になる。自分の科にやってくる研修医だけ一所懸命教えるような差別的なことやってれば、そのときの恨みが将来ネガティブに跳ね返ってくる。だから、他科にいく研修医には親切にしておけ。情けは人のためならず、なんだよ。自分の科にくるやつらはそんなに一所懸命教えなくたっていい。初期研修の時慌てなくたって、たっぷり教える時間はあるんだから」

S「なんだ、研修医じゃなく、自分の利益のためなんじゃないですか」
D「当たり前だ。研修医よりも俺自身のほうが大事に決まってる」
S「やっぱこの人に教わるの、不安だなあ」

第4回「他科希望の研修医こそ一所懸命に教えろ」その2 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。

[楽園はこちら側 2016年11月17日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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