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誰でもできる研修医指導13

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

S「D先生、先生に言われたように研修医を定時で帰宅させたいんですけど、なかなかできません」
D「どうして、できないんだい」
S「どうしてって、、、、どうしても無理なんです」
D「そんなんじゃ、話にならん。問題が生じた時にまずやるべきは何か知ってるか?」
S「え、、、反省?」

D「0点だ!!反省なんて何の役にも立たん。大事なのは分析だ。なぜ問題が生じているのか?問題の根っこには何があるのか?それを一所懸命考えるんだ。考えも分析もしないで反省なんてしてるから、日本の病院は改善しないんだよ。研修医がミスったときも、叱責して反省させるのは下の下策だ。大事なのは、分析し、改善し、再発させないことなんだよ」

S「なるほど。そうですね。やっぱカンファの開始時間がどうしても遅くなってしまうのが原因ですね」
D「甘い。それは現象を描写しているに過ぎん。では、なぜカンファの開始時間が遅くなるんだ?」
S「ぼくが外来とか検査とかやってるからです」
D「毎日外来と検査をやってるわけではあるまい」
S「まあ、そうですね」

D「では、まず外来と検査がない日のカンファは早く開始したまえ」
S「それはできなくはないですが、カンファの開始時間がまちまちだと研修医は混乱しませんか?」
D「そういうのはやってみてから言うんだよ!トライ・アンド・エラーだ。うまくいかなかったら、別の手を打てばいいんだ。いずれにしても、現状維持じゃダメなんだよ。できない理由から考える癖を直せ。ほとんどの問題は、"乗り越えるための障壁"に過ぎん」
S「なんでぼくはこの人にこんなにボコボコにされなきゃいけないんだ、、、、」
D「つぎに、外来とか検査のある日だ。他にも指導医がいるだろう。どうしてそいつらに回診をまかせないんだ」

S「それはぼくの矜持です。ちゃんと毎日患者について議論する。ぼくがそこに入る。ぼくの指導医も毎日そうしてましたし、ぼくもそうしたいんです」
D「自分の欲望で研修医を理不尽につきあわせるな!自分の指導医がそうだった?そうやって悪習を伝統芸能よろしく伝承していくからいかんのだろ。中1のとき中3にいじめられたら、自分が3年になったらいじめにまわるのと同じ論理じゃないか」
S「いや、ぼくはいじめもいじめられもしませんでした」

D「どうせおれはいじめられっ子だったよ。そんなにおれをこき下ろしたいか」
S「ぼくのほうがD先生に何十倍もこきおろされてますし。そうか、子どもの時いじめられてたから、反動でいま巨大ジャイアンみたいになってるんですね」
D「そのっとおりだあ。人生は全体でちゃんとチャラになるようにできてるんだ。やられたら、やりかえす。倍返しだ!」

S「それ、半◯直樹のパクリですし。そもそもぼくがやったんじゃないですから、ただの八つ当たりですよ」
D「医者は責任感が強いがゆえに、他人に任せるのが下手だ。しかし、他の指導医に仕事を任せることで、そいつらも成長する。研修医だっていろいろやらせないと成長しない。同じことだよ。いろんな指導医に異なるスタイルの回診を受けるから、研修医も頭を使って考えるんだ。S先生だけから指導されてたら、"S先生のご機嫌がそこねないためにはどうすればよいか"という発想で患者ケアをするようになる。研修医は、そういう方面はとても賢いんだ」

S「あ~確かに。そこはとても分かるような気がします。こちらの好みやくせに合わせて、患者ケアをしようとかしますよね」
D「というわけで、カンファの開始時間を早めなさい。そうすれば、早く終る」
S「は~い」

第13回「タイムマネジメントを教えよう」その1 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。

[楽園はこちら側 2016年11月30日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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