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誰でもできる研修医指導17

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

D「研修医の健康維持も大切なんだ。沖縄県立中部病院では、研修医の目標に"患者を殺さない、自分が死なない"という標語があったけど、言い得て妙だ」
S「沖中は昔から苛烈な研修で有名ですもんね」
D「まあ、最近はだいぶ穏やかな研修になってきたみたいだよ。過酷な研修だったら、研修医の実力が伸びるっていうのは他の業界を考えるとちょっと考えられないよね。そういう過酷な環境でもがんばってやるっというタフな研修医が集まりやすかったから、あの病院は優秀な研修医が多かったんじゃないかなあ。因果が逆だと思うんだよ」
S「うーん、そうかもしれませんね」

D「そうだよ。スポーツの世界でも、音楽の世界でも、もちろんレベルの高いところでのトレーニングは厳しい。けれども、自らの健康を損なうくらいの無茶苦茶なトレーニングで大成することはありえない。昔、高校サッカーとかでもものすごい練習させるので有名なチームがあったけど、その高校からはほとんど名選手が誕生しなかった。高校サッカーレベルでは圧倒的な体力で優勝できたかもしれないけど、世界レベルでパフォーマンスを示す選手がほとんど育たない。これじゃ意味ないじゃないか」
S「野球やサッカーの世界では、そういう逆説は多いみたいですね。活躍できるのは高校時代だけ、みたいな」

D「スパルタも必ずしも悪くないんだけど、あまりやりすぎて、"高校卒業したらああいう練習したくない"になっちゃ、意味がない。持続して努力を続けられるようなメンタリティー、鬼の指導者が目を光らせていなくても自主的にトレーニングできる主体性こそ、大事にするべきなんだ。スポーツの世界だけじゃない。医学生の中には、厳しい大学受験が終わった途端に勉強を止めてしまうもったいない人たちがとても多い。自分の能力の限界値が成人もしていない、社会の何の役にも経っていない若造の時って、非常に悲しくないか?厳しく教えてもいい。でも、人はサステイナブルに育てるべきなんだ」
S「そうですねえ」

D「というわけで、研修医のフィジカル、そしてメンタルな健康には十分に留意しないといけない。最近の若者はメンタルが弱い、と言われる。そういう事実はあるとは思うけど、たぶん昔の人もそんなに強いわけではなく、そういう問題を無視したり、いじめに転化させてただけだと思うんだよね」
S「まあ、昔はよかったはたいてい間違い、ってD先生よく言いますもんね」

第17回「研修医の健康にも留意しよう」その1 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。

[楽園はこちら側 2016年12月5日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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