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誰でもできる研修医指導34

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

D「まずは、白衣のポケットを調べろ」
S「お菓子が入ってないかとか、バナナはお菓子に入りますか?みたいな?」
D「そういうボケは嫌いだよ。多くの研修医が白衣カラッポのままでいる。頭カラッポなんだから、せめて白衣のポケットにはなんか入ってないとまずいだろう」
S「研修医を罵倒するのはまずいですよ」
D「頭カラッポなのを頭カラッポと言って何が悪い。ていうか、あいつらは勉強するために研修医やってんだ。頭カラッポ上等じゃんか。どんどん吸収させるスペースがあるってことだろ」

S「まあ、そういう言い方もありますか」
D「臨床上のたいていの疑問は、ほとんどの研修医が思いつくようなコモンな疑問だ。ものすごく難しいことを思いつくことなんて、研修医でもめったに起こらない。で、そういうコモンな疑問はポケットブックにたいてい答えが乗っているものだ。電解質異常の鑑別の建て方とか、高血糖の直し方とか」
S「そうですね」

D「で、そういう"マニュアル"をまず持たせる。MGHのPocket Medicineでもワシントンマニュアルでもいい。それぞれが使いやすそうなマニュアルを一冊ポケットに入れる。まあ、最近はスマホにアプリで入れるってのが一番スマートだな」
S「はい」
D「次に、計算だ。MedCalcのような医療でよく使う計算アプリを持たせる。クレアチニンクリアランスの測定や、冠動脈疾患のリスク吟味なんかはこうやって計算させればいいんだ」
S「なるほど」

D「で、ポケット内で解決できないような問題は、教科書を読ませる。教科書については、また日を改めて説明するが、とにかく困ったときは教科書を読む。その習慣をつけさせることが大切だ」
S「はいはい」
D「で、UpToDateのような二次データの出ている教材だな。別にDynaMed plusでもいいけどね。研修医はどちらかを携行して、スマホやパソコンからアクセスする習慣をつけさせる」

S「最近、UpToDate値上げして、撤退している病院も多いようですよ」
D「まったく、このデフレの時代に、こんなとこだけアベノミクスが発動されてどうすんだ?研修医は割引もあるから個人契約したっていいんだ。かっこいい車で女の子ナンパする余裕があったら、UpToDateを契約しろ」
S「最近の若いのは車、興味ないですよ。それに"ナンパ"もほぼ死語です」
D「うるさい、自分だけナンパうまくいってるからって偉そうに」

S「まあまあ、ナンパ何十回負け続きでしたっけ」
D「そんで、次にPubMedやGoogle Scholarを使って原著論文を検索させる。検索方法は岩田健太郎が訳した"ナラティブとエビデンスの間"でも読ませとけ。あいつら、研修医にはちょうどいいレベルだろ」
S「なんだかなあ。でも、確かにそこまで教えたら、いろいろ調べられそうですね」

D「違う。そこからが問題なんだ。だいたい、初期研修医のころはこういう情報ツールを持たせても、妥当性の高い情報に行き着かないことが多い。ちゃんと情報を見つけたかどうかは上級医が確認する必要がある。そして、うまくいってなければ、なぜうまくいかなかったかを検証するんだ」
S「面倒くさいものなんですね」
D「教育とは、これ面倒くさいものなんだ。さっさと教えちゃうほうが楽なんだよ」

第34回「調べさせよう、調べ方を教えてあげよう」その2 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。

[楽園はこちら側 2016年12月29日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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