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誰でもできる研修医指導53

S「D先生があまりに引っ掻き回すので、研修医の研究意欲がだだ下がりですよ~」
D「何言ってんだ。俺は研究するなと言ってるんじゃない。くだらない発表はすんなって言ってるんだ」
S「いや、みんな萎縮しますって」
D「ていうかだなあ。そもそも学会発表はちゃんとした研究とはいえないんだぞ。ちゃんと論文化して初めて研究だ」
S「そりゃ、正論かもしれませんが、でもやっぱ学会発表がまずあって、それから論文でしょ」

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

D「違う。最初から論文執筆ありきだ。論文化しない学会発表なんてありえないだろ」
S「ありえなくはないですよ。論文化できないことだって、あるでしょ」
D「その点ではS先生は正しい。実は学会発表の半分以上は論文化されていない」
S「ほーらね」
D「じゃ、聞くが論文化もできない学会発表に何の意味があるんだ?聴衆が発表者と座長とその他3人しかいないポスター発表を5分間やって、それが一体学問にどういう寄与をするんだ?しないだろ。そんなのただの自己満足のオナニーじゃんか」
S「いや、さすがにオナニーではないかと」
D「メタファーだよ。その場で終わってしまう学会発表なんて、最初からする価値はなかったんだよ。論文化できるものだけが学会発表に持っていく価値がある。では、論文化できる学会発表とは、いかなる基準で作れるのか?」

S「そりゃ、査読に通れば、、、」
D「日本の学会発表の査読なんてオール通過で追加募集までしてるだろ。普通に出せば、絶対に通るんだよ(例外あり)。あんなのなんの基準にもならん」
S「たしかに、学会抄録落とすのは鬼のD先生くらいかもしれませんね」
D「鬼じゃない。仏だから、落とすんだ。勘違いして将来不幸になるのは、本人だ!」
S「いやまあ、そうですが、、、、でも、論文化はやはり普通の研修医にはかなり高いハードルですよ」
D「だから、無理やり研修医やってるあいだに論文にする必要はない。研修医の間に研究にコミットする。でも、論文化するのは4 ,5年後だってかまわない。たいてい、最初の研究は5年かそこらかかるのが普通だ」
S「そうなんですか、、、」
D「そうだよ。日本の医者は臨床研究(と臨床そのもの)を舐め過ぎなんだよ。3年以内に何十篇臨床研究パブリッシュするとか、妄想にすぎない」
S「ま、言わんとする所はわかります」
D「でもな、論文化を目標化すれば、よいショートカットもできる」

S「本当ですか?つらいだけなのでは?」
D「学会発表の準備をして、ポスター作って、発表して、それから論文化するのは大変だ」
S「そうですね」
D「だが、最初に論文を作っておけば、どうなる?」
S「え???」
D「論文を作っとくんだ。そうすれば、そこからポスター作るのはあっという間だ。質疑応答も「Discussion」で尽くされている。尽くされていない議論は(めったにないけど)論文に足してから投稿もできる。これなら、ものすごくエネルギーを省力化できる」
S「確かに。誠に正論ですが、現実にやるのは非常に大変なような、、、、」
D「ま、真似するやつほとんどおらんもんな。でも、もう一つ研修医にできる、それもめっちゃ簡単にできることがある」
S「???え???」

第53回「レターを書かせよう」その1 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。

[楽園はこちら側 2017年2月17日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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