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誰でもできる研修医指導64

D「地べたに希望は転がっていない。下を向いても、何も出てこない。だったら、上を向け。笑顔を作り上げろ。幸せなふりをしろ」

岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)
岩田健太郎(神戸大学感染症内科診療科長・国際診療部長)

S「だって、不幸せなんだから、、、」
D「「ふり」でいいんだよ。この程度のことで落ち込んでたら、「そういう器」だと思われちまうだろ。ま、「そういう器」なんだけどな、お前は」
S「慰めるんじゃなかったんですか」

D「慰めてない。対応法を教えてるんだ。「そういう器」だと思われるのは業腹だし、戦略的にも有効じゃない。ボクサーが殴られた時に「効いてます」と分かる顔をするか?「全然効いてないぜ」とブラフをかますのが定石だろが。その程度のネポティズム、俺には全然応えんわい、、、というふりをしてろ。そのほうが将来的には戦略的にうまくいく可能性が高い」
S「もしかして、D先生も落ち込んだ時、敢て虚勢を張って元気なふりをすることってあるんですか?」

D「俺くらい繊細な医者がこの世にいるか?いつだって、傷つき、悲しみ、落ち込んでいる震える小鳥のような繊細な存在がこの俺様だ。それを必死に歯を食いしばって、平気なふりをしているだけだ。その程度のことが分からなくて、よく研修医教育とかやってられたな。ま、俺様の演技力のあまりに高いことも原因なんだが、、、、」
S「こんな鼻高々にふんぞり返っている人がなにをもって「繊細」なんですか」
D「「効いてないふり」は相手に恐怖を呼び起こす。このくらいの仕打ちでは俺様にはダメージにはならない、、、そういう観念を相手にもたらすのだ。実はこれはいじめ対策にも有効だ。いじめっ子はいじめられっ子がびくびく震えているのがサディスティックに面白いんだ。「そんなもん、俺に効くか」としれっとしてれば、いじめっ子はめんどくさくなり、そしてしばしば怖くなって(いじめっ子の本質は、臆病者だ)、いじめはやめる。お前もこれ以上、理不尽な嫌がらせをされたくなかったら、まず嫌がらせが嫌がらせとして機能してない、という観念を相手に植え付けることだ」

S「なんか、すごいですね」
D「いじめ対策や嫌がらせ対策は観念や道徳じゃない。あくまでも戦略と実践だ。アウトカム志向だ。相手がもっとも望まない態度をとりつづけることこそ、最大のいじめ、ハラスメント対策なんだ」
S「なるほどお。勉強になります」

A「あ、S先生、D先生、こんにちは。D先生、こないだ街で一緒に歩いていたの、病棟ナースのBさんでしょ。むっちゃ、美人ですよね。くどいたんですか?うまくいったんですか?どこまでいったんですか?」
D「な、、なんのことかな??ぼくは病棟のナースなんて興味はないし、Bさんなんて知らんし、、、街を誰とも歩いとらん」
A「なに冷や汗いっぱいになってるんですか。あれ、間違いなくD先生とBさんでしたよ。D先生、むっちゃ、テンション高かったですよね~なんか、Bさんちょっと引いてましたけどね。あ、もしかしてふられちゃったんですか~?またですか~?D先生の連敗記録、ほとんど伝説的ですよね~」
D「う、うるさい!お前に何が分かる!ひいいいいいいん!」

A「あ、走って行っちゃった。D先生、どうしたんだろ、泣いたりして。いつもはめっちゃ、メンタル強そうなのに、、、」
S「A先生、君の空気読めなさっぷり、初めて尊敬したよ」
A「そうですか~?それほどでもお♪」

第64回「幸せなふりをしよう」その2 終わり

続く。

この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医で、A先生は架空の空気読めない研修医で、Bさんは架空の美人ナースです。

[楽園はこちら側 2017年2月28日より転載]

楽園はこちら側
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/

この記事の監修・執筆医師

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