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先端技術の応用でもっと健康になる Aging Style × GOOD DESIGNトークレポート(6)

制限することで生まれる可能性もある

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者である暦本純一氏
ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者である暦本純一氏

   暦本氏は世界初のモバイルARシステムを1990年代に開発し、拡張現実やバーチャルリアリティー(VR)、ユーザーインターフェース(UI)など時代を先導する研究活動に携わってきた研究者のひとりだ。

   そんな暦本氏が目指すのは、「IoA(Internet of Abilities)」、つまり端末や機器がネットワークにつながるだけでなく、人間もネットワークとつながって拡張されていく「人間拡張」の実現だ。

「これは単なる効率性や合理性の追求を意味するわけではありません。情報が多すぎることは必ずしも幸せではないと私は考えています。情報を使いこなすことが、これからの技術では重要になっていくはずです」(暦本氏)

   その一例が、液晶技術を使った、任意の一部分だけ自由に透明度を変えられる窓だ。単なるディスプレイの代わりとしても使用できるが、カーテンで閉め切らずに隠したい部分だけ隠すようにすることもできる。太陽を適度に隠して一部だけ陰にするという、日照のコントロールもできる。

「重要なのは、単に変わった便利なテクノロジーではなく、使い方によってQOL向上に貢献できることだと考えています」(暦本氏)

   暦本氏ならではのユニークな視点から、テクノロジーによるQOL向上に取り組んだプロジェクトのひとつが、「笑わなければ扉が開かない冷蔵庫」だ。

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   きっかけは、嬉しくないときでも笑うと、笑わない場合に比べ身体にポジティブな変化があったとする研究データを目にして、「笑顔認識」というカメラなどに利用されている技術を利用し、笑うと反応するというシンプルな仕組をさまざまなところに組み込むというアイデアからだったという。

「最初は洗面台の鏡に搭載し、その前で笑うと「シャリーン」と効果音がするというものでした。ゲーム感覚で朝起きて笑うことも増えるかもと考えていたのですが、そこからさらに進めたのが冷蔵庫です」(暦本氏)

   冷蔵庫には電磁ロックがかかっており、センサーの前で笑うと扉が開く。食べるためには必ず笑わなければいけない。ジョークのような仕組みだが、数日間の使用テストでは、最初のころはひきつった笑いを見せていた被験者が、徐々に満面の笑顔に変化していったという。

「笑顔を作るという行為の努力そのものに意味があるはずですし、化粧と同じで、素の自分とは別に笑顔でポジティブに見えるということは大切なはずです。『笑顔のエクササイズ』というような仕組みを日常生活にもっと取り込めばいいのではないかと考え、冷蔵庫以外にもテストしています」(暦本氏)

   会議室のドアに組み込み、笑わないと入れない会議室や、目覚ましに組み込み、笑わないと止まらない目覚ましなども試作したという。こうした機器は、テクノロジーによって生活が便利になる、という考え方とは逆のものだ。

   しかし、暦本氏はテクノロジーで便利にすることだけがすべてではないと語る。

「チャレンジがあって何らかのベネフィットがあるのはエクササイズやゲームと同じです。つまり、不便であることはモチベーションにつながるということです。すべてをコンピュータがやってくれるような状態が、本当に幸せでしょうか」(暦本氏)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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