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先端技術の応用でもっと健康になる Aging Style × GOOD DESIGNトークレポート(6)

   Aging Styleとグッドデザイン賞によるコラボレーショントークイベント「Aging Style ×GOOD DESIGNトーク」第6弾が、東京ミッドタウンのデザインハブで開催された。

近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授の山田秀和氏
近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授の山田秀和氏

   今回は、近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授の山田秀和氏と、日本を代表するヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者である暦本純一東京大学・大学院情報学環教授が登場。

   互いの専門分野における先端の技術や知見を紹介し、それらが私たちの生活にどのように影響し、何を変えていく可能性があるのかを語った。

これからの健康のカギは「見た目」と「環境」

   近畿大学アンチエイジングセンターの副センター長も務める山田氏は、アンチエイジングや健康長寿の切り口として、皮膚や容貌、体型といった「見た目」に関する要素が鍵になるとし、これらの知見には大いに関心があると話す。

「肉体だけでなく、服飾や装飾も含めての『見た目』です。その領域は広く、ここを深めていけば見た目が良いことが健康長寿につながるという知見も得られるのではないかと思います」(山田氏)

   見た目に次いで山田氏が最も重要な要素になると指摘したのが「環境」だ。山田氏は以前から「運動」「食事」「精神」といった見た目に影響を与える分野の重要性を訴えてきたが、これらに加え「環境」が不可欠な要素になるという。

「国土交通省などと協力し、室温が18度以上に保たれている高気密・高断熱住宅で生活すると、血圧が数mmHG低下させることができるという実証試験を行っています。成功すれば、薬を使わずに住環境だけで血圧を8mmHGくらいは下げられるかもしれません。こうした環境から健康を考える、捉えるという発想が重要になるはずです」(山田氏)

   さらに山田氏が現在注目している先端技術として挙げたのが「ウェアラブル端末」だ。特にウェアラブルなセンサーを使って皮膚表面の化学物質をすべて検出したという。

「世界保健機構(WHO)が2009年ごろから『エクスポソーム』という概念を提唱しています。これは、人間を構成しているのは『中』にある『遺伝子』と、『外』にある『環境』という考え方で、人間の健康も遺伝子と環境から捉えようというものです。つまり、化学物質や大気、光、音、気圧、食事といった『外』のことを正確に把握する上で、センサーは不可欠になるはずです」(山田氏)

   「中」のことである遺伝子にも強い興味があるという山田氏は、遺伝子の可能性として「今っぽい」という感覚に触れた。例えば、同じブランドでも過去の商品と現在の商品では、現在のほうが「今っぽくかっこいい」と感じる。

「少し前のファッションモデルと現在のモデルを比較しても、今のほうが美しいと感じます。我々の中にある遺伝子がどのように影響しているのか、興味は尽きませんね」(山田氏)

制限することで生まれる可能性もある

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者である暦本純一氏
ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究者である暦本純一氏

   暦本氏は世界初のモバイルARシステムを1990年代に開発し、拡張現実やバーチャルリアリティー(VR)、ユーザーインターフェース(UI)など時代を先導する研究活動に携わってきた研究者のひとりだ。

   そんな暦本氏が目指すのは、「IoA(Internet of Abilities)」、つまり端末や機器がネットワークにつながるだけでなく、人間もネットワークとつながって拡張されていく「人間拡張」の実現だ。

「これは単なる効率性や合理性の追求を意味するわけではありません。情報が多すぎることは必ずしも幸せではないと私は考えています。情報を使いこなすことが、これからの技術では重要になっていくはずです」(暦本氏)

   その一例が、液晶技術を使った、任意の一部分だけ自由に透明度を変えられる窓だ。単なるディスプレイの代わりとしても使用できるが、カーテンで閉め切らずに隠したい部分だけ隠すようにすることもできる。太陽を適度に隠して一部だけ陰にするという、日照のコントロールもできる。

「重要なのは、単に変わった便利なテクノロジーではなく、使い方によってQOL向上に貢献できることだと考えています」(暦本氏)

   暦本氏ならではのユニークな視点から、テクノロジーによるQOL向上に取り組んだプロジェクトのひとつが、「笑わなければ扉が開かない冷蔵庫」だ。

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   きっかけは、嬉しくないときでも笑うと、笑わない場合に比べ身体にポジティブな変化があったとする研究データを目にして、「笑顔認識」というカメラなどに利用されている技術を利用し、笑うと反応するというシンプルな仕組をさまざまなところに組み込むというアイデアからだったという。

「最初は洗面台の鏡に搭載し、その前で笑うと「シャリーン」と効果音がするというものでした。ゲーム感覚で朝起きて笑うことも増えるかもと考えていたのですが、そこからさらに進めたのが冷蔵庫です」(暦本氏)

   冷蔵庫には電磁ロックがかかっており、センサーの前で笑うと扉が開く。食べるためには必ず笑わなければいけない。ジョークのような仕組みだが、数日間の使用テストでは、最初のころはひきつった笑いを見せていた被験者が、徐々に満面の笑顔に変化していったという。

「笑顔を作るという行為の努力そのものに意味があるはずですし、化粧と同じで、素の自分とは別に笑顔でポジティブに見えるということは大切なはずです。『笑顔のエクササイズ』というような仕組みを日常生活にもっと取り込めばいいのではないかと考え、冷蔵庫以外にもテストしています」(暦本氏)

   会議室のドアに組み込み、笑わないと入れない会議室や、目覚ましに組み込み、笑わないと止まらない目覚ましなども試作したという。こうした機器は、テクノロジーによって生活が便利になる、という考え方とは逆のものだ。

   しかし、暦本氏はテクノロジーで便利にすることだけがすべてではないと語る。

「チャレンジがあって何らかのベネフィットがあるのはエクササイズやゲームと同じです。つまり、不便であることはモチベーションにつながるということです。すべてをコンピュータがやってくれるような状態が、本当に幸せでしょうか」(暦本氏)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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