近年、日本では美容医療への関心が高まっているが、一方でトラブルが後を絶たない。
例えば、「しわ伸ばしのためにクリニックに行ったら即日施術され、1300万円を請求された」など金額に関するトラブル。あるいは注入治療での失明、美容機器によるヤケドなど身体に関わるトラブル・・・。
2017年2月には、30代の女性が、愛知県の美容外科クリニックで胸を大きくする豊胸手術を受けて意識不明となり搬送先の病院で死亡した。
どうすればより安全性が高くリスクの低い美容医療を実現することができるか。美容医療の関連学会、立法府、行政が連携して、美容医療制度改革に取り組むことになった。2017年4月13日に大阪で行われた第60回日本形成外科学会で、その第一歩となるシンポジウムが開催され、それぞれの代表者が制度改革に向けた取り組みを発表した。
まず、最初に東海大学名誉教授で形成外科医の谷野隆三郎氏が「広告規制とホームページ」について講演した。
患者が美容医療を利用するきっかけは、クリニックのウェブサイトやインターネット上の広告がほとんど。様々な謳い文句があふれているが、現在、医療機関のホームページは医療法の規制対象にはなっていない。医療機関は、厚労省の「医療機関ホームページガイドライン」に従って、自主規制を行うことになっている。ところが実際には、不適切な表現が野放しになっている。
谷野氏によると、厚生労働省は規制の強化に向けて動いており、ネットパトロールによるウェブサイトの監視が実施される方向だとした。
また、より安全性の高い医療を受けるには、信頼できる医師なのかどうかも重要だ。独協医科大学形成外科学の朝戸裕貴氏は、美容外科医にも確かな知識と技術を身に着けた公的な専門医制度の仕組みを作るべきだとして、そのためには今後、来年発足予定の新専門医制度に沿った教育プログラムを構築すべきだとした。