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6月24日:大腸ガンスクリーニングに関する米国消化器医師連合の提言(6月6日号American Journal of Gastroenterology掲載論文)

   大腸ガンはわが国だけでなく、アメリカでも増加傾向にある。さらに、他のガンと比べると早期発見による治療効果は高いため、定期的な大腸ガン検診が推奨されている。わが国では便に血液が混じっているかを調べる免疫テストが最も一般的だが、現在定期検診に用いることができる方法は、7種類存在する。今日紹介する3つの米国消化器に関連する学会を代表する専門家による論文は、この7種類の方法をこれまで発表されている論文に基づいて検討し、現時点の大腸ガンスクリーニングのあり方について提言をまとめたもので6月6日号のThe American Journal of Gastroenterologyに掲載された。タイトルは「Colorectal cancer screening:Recommendations for physicians and patients from US nulti-society task force on colorectal cancer (大腸直腸癌のスクリーニング:複数の学会を代表する大腸直腸癌の特別調査委員会からの医師及び患者さんへの提言)」だ。

   この委員会で検討された方法は、1)大腸内視鏡検査、2)S状結腸ファイバースコープ、3)CT コロノグラフィー、4)便の潜血免疫検出、5)便のDNA診断、6)血清中のセプチン9検査、7)カプセルによる大腸内視鏡検査で、詳細は省くがそれぞれの検出率、副作用、コストなどを丁寧に調べている。

   その上で、最も信頼が置ける検査として推薦しているのが、大腸ファイバーによる検査で、大腸ガンのみならず、前癌状態の検出が可能なことが重要な点だ。しかし、この検査には幾つかの問題がある。すなわち医師の熟練度、さらに検査による出血は0.26%,大腸に穴が開く危険性が0.05%,そして検査による死亡が10万人に2.9人存在することだ。したがって、これを毎年受けることは問題で、この提言では十年に一回で良いと結論している。

   わが国で最も普及している便の潜血検査も、大腸ガンの発見率を上げ、死亡率を下げることがわかっているが、問題はやはり診断率で、大腸ファイバーで見つかる例の74%が診断されるが見落としが多く、前癌状態についてはほとんど検出できない。

   最近登場したDNAテストは、大腸ファイバーで検出されるケースの92%が検出できること、さらに前癌状態についても発見率が高いが、年齢とともにガンのない人も遺伝子の変化が見られるようになるため、65歳以上では過剰診断につながる可能性が高い点だ。

   他の方法についても丁寧に解説しているが、推薦は控えており、これに基づいた提言をまとめると以下のようになる。

   まず検査だが、基本的には検査開始は50歳以降で統計学的には十分としているが、もちろん若い人にも発症するので、自分で判断する必要があるが、以下の提言を示している。

推薦1位:十年に一度の大腸ファイバー
      毎年の便の潜血検査
推薦2位:五年に一度のCTコロノグラフィー
     3年に1度の便DNAテスト
     5~10年に一回のS状結腸鏡
推薦3位:5年に一回のカプセル内視鏡
推薦できない:血中ガンマーカー

としている。

   問題は医師の大腸ファイバー検査の技術になるが、これについては患者から医師への質問票を用意している。

1) アデノーマ(前癌状態)の発見率(25%程度存在している)
2) 盲腸まで到達する確率(95%以上)
3) 前処置として2日に分けて処理剤を服用する2回法を使っているか?
4) レポートには大腸全体の写真をつけてくれるか
5) 前処置が完全だったかについての報告をつけてくれるか?

   患者さんの立場からは簡単ではないが、ぜひ聞いてみる価値はあるし、医師の方もそれだけ身構えるのではないだろうか。

   以上は一般の人の話だが、家族に直腸癌患者さんがいる場合には、大腸ファイバー検査を早くから、より頻回に受ける必要も述べている。さらに、これまで検査を受けていて何もなかった場合、75歳以上は検査の必要がないことまで書いている。

   このまま我が国の状況に当てはめられるかは明瞭ではないが、詳細にわたるしっかり受け止めるべき提言だと思う。

[NPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ) 論文ウォッチ 2017年6月24日より転載]

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