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健康状態は「顔の魅力」や「見た目年齢」にも影響する

   近年、自分の美しさや性的な魅力は個人の資産として捉えられ「エロティック・キャピタル」(美的資本)と呼ばれています。ファッションや美容など、「見た目」に対する消費は、個人消費の約10%であるとも計算されています。

心理学から考える「見た目と健康」
心理学から考える「見た目と健康」

   いま、さまざまな分野の研究者たちも、美しく魅力的でいるための方法や満足のいく年の取り方を実現するにはどうしたらいいかなど、美的資本に関わる研究に取り組んでいます。

   心理学もそのひとつで、私が専門とする感性心理学の分野では、「見た目と心の関係」に注目が集まっています。

   過去にも見た目と心の関係は数多く研究されてきましたが、そのほとんどが恋愛や生殖を目的にしたものでした。それが最近は、仲間との友情や協力を目的にした研究が多くなり、人の見た目の美しさや魅力が、他人との関係性を構築して人生をより豊かにするためにも重要なアイコンになってきたのではないかと感じています。

健康な体があってこそ

   心理学の分野では20年以上、人が魅力的だと判断する顔は左右対称だったり、顔の特徴が平均からのズレが小さかったり、または男らしさや女らしさといったことが重要だといわれてきました。

   最近では研究が進み、それらの特徴に対して、個人の健康状態が反映し、顔の魅力や見た目の年齢に影響することがわかってきました。

   見た目に影響する要因はさまざまです。例えば、睡眠や栄養、ストレスなどがその例として挙げられます。それらが乱れると、性ホルモンや成長ホルモンの分泌に影響を及ぼし、健康を害します。そして、顔のシワを深くするなど、見た目の年齢に影響することになるのです[1]。

   例えば、体内の酸化ストレスレベルが高い人は顔の魅力や対称性が低くなる(負の相関をもつ)という研究[2]や、顔の平均性が免疫機能をつかさどる抗体の性質を表しているとする研究[3]など、顔がその人物の健康の鏡となることを示す例が次々と発表されています。

   もちろん、一時的なストレスや免疫機能の低下がすぐに顔にあらわれるわけではありません。しかし、長期にわたる健康の乱れは、微細ではありますが、確実に顔にあらわれるのです。

   美しく魅力的な容姿を叶えるには、健康な体があってこそ。そのためには、自分の体がどういう状態か日頃からよく知っておきたいものです。

   米国や中国では、3次元で測定した顔の形態と病気リスクの研究が進められています。顔の情報を科学的に分析することによって、医学的なリスクが予測できるようになりつつあるのです。また別の機会に詳しく紹介したいと思います。
[執筆:川畑秀明 慶應義塾大学文学部心理学准教授]

かわばた・ひであき/専門は感性心理学、認知神経科学。主観性と経験価値の心理とその脳メカニズムを研究し、主に、芸術、美、魅力、ユーザー・エクスペリエンス、デザイン、ユーザビリティ、感性教育、鑑賞行動の解明に努める。ヒトの主観はあいまいで非常に影響を受けやすいため、その影響の関係や因果性に関する心と脳の働きを明らかにし研究に活かす。著書に『脳は美をどう感じるか―アートの脳科学』(ちくま新書)がある。

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参考文献
[1]van Drielen, K., Gunn, D. A., Noordam, R., Griffiths, C. E., Westendorp, R. G., de Craen, A. J., & van Heemst, D. (2015). Disentangling the effects of circulating IGF-1, glucose, and cortisol on features of perceived age. Age, 37(3), 34.

[2]Gangestad, S. W., Merriman, L. A., & Thompson, M. E. (2010). Men's oxidative stress, fluctuating asymmetry and physical attractiveness. Animal Behaviour, 80(6), 1005-1013.

[3]Lie, H. C., Rhodes, G., & Simmons, L. W. (2008). Genetic diversity revealed in human faces. Evolution, 62(10), 2473-2486.

この記事の監修・執筆医師

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