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【短期集中連載】がん治療の革命?!プレシジョン・メディシン⑤ 3学会合同で進む遺伝子解析の標準化

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   次世代シーケンサーを使って、がんの組織などの遺伝子異常を調べ、一人ひとりの患者に最適な薬を選ぶクリニカルシーケンスとよばれる「プレシジョン・メディシン」(高精度医療)の活用が広がってきています。しかし、がん患者がプレシジョン・メディシンを実際に一般診療で受けられるようになるにはいくつかの課題を解決する必要があります。近畿大学ライフサイエンス研究所ゲノムセンター教授としてプレシジョン・メディシンを行いつつ、課題解決に取り組む西尾和人先生にインタビューしました。

前回記事:「近畿大クリニカルシーケンス」が実践する〝早い″〝安い″遺伝子解析

全国で複数のがんプレシジョン・メディシンプロジェクトが進行中

― 近畿大学ライフサイエンス研究所ゲノムセンターの「近大クリニカルシーケンス」、国立がん研究センター東病院を中心にオールジャパンで展開する「スクラム・ジャパン(SCRUM-Japan)」など、次世代シーケンサーでがん組織や血液から抽出したDNAの遺伝子解析を行い最適な治療薬を選択する「プレシジョン・メディシン」が広がってきています。実用化の見通しはありますか。

西尾先生 私は、近畿大学ライフサイエンス研究所ゲノムセンターで、固形がんの患者さんの組織や血液などを用いて次世代シーケンサーによる遺伝子解析を行い、最適な治療薬を選択する「プレシジョン・メディシン」の臨床試験を進めています。私の知る限り、プロジェクト別、あるいは遺伝子解析パネル別に分けると、オールジャパンのスクラム・ジャパンを合わせて、現時点では全国で8種類くらい、次世代シーケンサーを使ったプレシジョン・メディシンのプロジェクトが動いています。

   私たちが進めている近大クリニカルシーケンスでは、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析の実用化、つまり、保険診療で多くの患者さんがプレシジョン・メディシンを受けられるようになることを目指しています。ところが、そのためには、いくつかの課題を解決する必要があります。その一つが、遺伝子解析の結果を担当医に伝えるゲノムレポートの書き方などの標準化です。

   もしかしたら、読者の中には、次世代シーケンサーに患者さんのサンプル(がんの組織の薄片や血液)を入れたら、コンピュータで結果がポンと出てくると考えている人もいるかもしれませんが、実際にはそんなに単純なものではありません。次世代シーケンサーはDNAを読み取るための機器です。医師が、次世代シーケンサーによって得られた情報を患者さんの治療に生かすためには、その塩基配列から遺伝子の異常を選別し、その遺伝子の異常に効く可能性のある薬が国内外にあるかどうかを調べ、病理医、がん薬物療法専門医など、がんゲノム医療に精通した専門家のチームがエビデンスレベルを検討し、シーケンスレポートを作成する作業が必要になります。

   現時点では、複数のプロジェクトが別々に進んでいるので、もしも、同じ患者さんが2つのプロジェクトに参加して次世代シーケンサーによる遺伝子解析を受けたとしたら、担当医に届くシーケンスレポートは、異なった内容になる可能性があります。例えば、肺がんの患者さんが次世代シーケンサーを使った解析の結果、「HER2遺伝子変異がある」と分かった場合、ある大学病院では「トラスツズマブとの併用によって脳転移が抑えられたとの海外の報告あり(エビデンスレベル3A)」、別の大学病院では「海外でアファチニブが部分奏功したとの報告がある」など、同じ患者さんに対して異なったシーケンスレポートが担当医の手元に届くかもしれないわけです。

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