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がん早期からの緩和ケアで患者と家族を支える 日本緩和医療学会2017レポート

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第22回日本緩和医療学会学術大会

   第22回日本緩和医療学会学術大会が2017年6月23~24日、パシフィコ横浜で開かれ、緩和ケアの専門家らが日々の研究や診療の成果を発表、Aging Style編集部が取材した。

補完代替療法、医師に相談しないケースも

   がんと診断された患者は、治療を進めるうえで抗がん剤や放射線治療のほかに、健康食品や食事・運動療法、温熱療法、音楽療法といった様々な補完代替医療(CAM: Complementary and Alternative Medicine)への関心が高くなる。

   患者はどの程度CAMを選択しているのか。がん・感染症センター都立駒込病院の鈴木梢医師(緩和ケア科)が緩和ケア病棟の遺族を対象に行ったアンケート調査によると、回答者451名のうち約半数はCAMを利用していた。

鈴木梢さん
鈴木梢さん
情報源は、インターネットや本よりも家族や友人が多かった。 主に免疫力の向上や精神的な支えのためにCAMは利用されていた。

   CAMの内容はサプリメント、食事療法、ビタミン療法、運動療法、鍼灸など多岐に渡っていた。一部の患者はCAMに過度な期待をして多額な費用を投じ、さらに副作用が出現していることもあるが、患者が治療医に相談をせずに受けているケースも見られ、医療者側はCAMの内容や目的についても注意を払う必要があるとした。

石原未希子さん
石原未希子さん

   次に、音楽療法の有効性や病院内で実施できるかについて、北里大学医学部呼吸器内科の石原未希子医師が発表した。米国の資格を持つ音楽療法士と共に検証したところ、身体的苦痛や気持ちのつらさを和らげる効果があったという。また、脈拍と呼吸数から判断するとリラクゼーション効果があることもわかった。北里大学病院内では安全に実施できたが、今後は大規模な検討や普及に向けた取り組みが必要だとした。

   会場では、日本での音楽療法の在り方や、音楽療法士の教育などについての質問や意見交換があり、関心が高いことが感じられた。

僧侶によるスピリチュアルなサポートも

   緩和医療における精神的なフォローとして、仏教チャプレン(施設や組織で働く僧侶)の関わりも取り上げられた。

   あそかビハーラ病院(京都府城陽市)の看護師で僧侶でもある東承子(あずましょうこ)さんは、患者の遺族に対し僧侶の関わりについて調査した。

東承子さん
東承子さん

   あそかビハーラ病院は、浄土真宗本願寺派(西本願寺)の僧侶が常駐している独立型の緩和ケア施設だ。宗教を強制されることは一切なく、 無宗教でも入院できる。僧侶はお経や法話の活動以外に、日常的に患者やその家族の悩みを聞き、気持ちに寄り添うほか、散歩の手伝いなども行なう。

   アンケートによる調査で、実際に僧侶と関わった家族からは「よく話を聞いてくれた」「初めての看護で不安だったが落ち着くことができた」など肯定的な意見がほとんどだった。信仰や、宗教行事への参加ではなく、日常的な関わりを通して僧侶の存在意義を実感していることが示唆されたという。

   がんの治療法は患者の個人差が大きく、パーソナル化と共に多様化も進んでいる。なぜ、緩和医療が必要なのか、どんな効果があるのか。大会では、患者が納得して「自分らしく生活できる」治療の在り方について活発に議論されていた。

医師・専門家が監修「Aging Style」

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