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がん患者に求められるもの、必要としているものとは 第55回日本癌治療学会学術集会レポート

AYA世代患者ならではの事情に寄り添う必要も

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   同じがん患者でも、置かれている状況が異なれば必要な情報やとるべき対応も異なってくる。がんの発症部位やステージなどはもちろんだが、患者の年齢や社会的立場も考慮すべき重要な要素だ。

   特にそれが顕著なのが15~30歳前後の思春期・若年成人層、いわゆる「AYA(Adolescent and Young Adult)世代」となる。市民公開講座と同日に行われたシンポジウム「AYA世代がん医療の現状と展望」では、このAYA世代とがん治療のあり方に注目した講演が行われた。

   AYA世代はそれ以外の世代に比べライフサイクル特有のニーズが多く、必要としている情報や相談に対応する窓口が圧倒的に不足していると指摘するのは、聖路加国際病院の小澤美和医師だ。

「仕事はもちろん、学生であれば学業や恋愛、普段の生活まで考慮すべき要素は多様です。例えば大学生なら治療中に出席率に配慮はなされるのか、単位認定にはどのような影響が出るのかといったことが問題になりますが、こうした情報はほとんど発信されていません」

   もちろん学校側が何もしていないというわけではなく、小澤医師らの調査ではがん治療で療養中の学生に対し何らかの配慮・対応をしていると答えた大学・高校は全国で70%を超えている。しかし、現場レベルではどうすればよいのかわからず対応しきていない現実もあるという。

「がん患者という大きな括りだけではなく、世代や実情に適した情報が提供されるよう体制を整えていかなければいけません。とはいえ、若いAYA世代には治療に前向きに取り組むために自ら情報を得て判断する『もがき』も重要です。医療者が情報を与えすぎないという視点も必要になるでしょう」

   AYA世代ならではのニーズとして、学業以外にも重要なのが生殖機能だ。治療において女性であれば子宮の切除、男性でも抗がん剤や放射線治療の影響で精子が産生できなくなる可能性がある。

   まだライフプランも固まっていないうちに、治療のためとはいえ生殖機能が損なわれるか否かの決断を下すというのは容易ではない。女性の場合現状唯一の生殖機能保存療法は卵子凍結と移植となる。2004年には実際のがん患者の女性が保存した卵子での妊娠に成功しており、現在では10歳以下の患者に実施されている例もあるという。

   しかし、聖マリアンナ医科大学の鈴木直医師によると、まだまだ情報提供が不足しており、がん治療に取り組むことで将来子どもを持てないのではないかと不安になるAYA世代は少なくないと指摘する。

「40歳以下で治療を開始したがん患者を対象とする『妊孕性温存のガイドライン』は今年癌治療学会から初めて発表されました。どのような方法があるのか、温存のためにがん治療の遅延は許容されるのか、治療後いつから妊娠可能となるか、など患者が抱える不安はとても大きいものです。がんの情報にとどまらず、患者にとって必要な情報を積極的に提供してかなければいけません」

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