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わずか2mlの血液より大腸がんと診断できるリキッドバイオプシーの有用性が証明される ASCO-GI2018より

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   2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、血液中を循環するごく微量のがん細胞であるCirculating Tumor Cells(CTC;以下CTC)を検出できる大腸がん患者に対するリキッドバイオプシーの検診率に関する結果が台湾・Linkou Chang Gung Memorial Hospital・Wen-Sy Tsai氏らにより公表された。

   本試験は台湾にあるLinkou Chang Gung Memorial Hospitalへ通院する20歳以上の患者(N=620人) を対象に、大腸内視鏡検査または生検により前癌病変またはステージI-IV大腸がんと診断する方法に比べ、わずか2mlの血液を採取するリキッドバイオプシーにより前癌病変または早期大腸がんと診断する方法で診断精度に差が出るかどうかを盲検下で検証している。

   特に、リキッドバイオプシーにより診断を受ける健常者が前癌病変またはステージI-IV大腸がんと誤って診断されるような偽陽性の検出力の結果を研究者らは重視した。

   なお、本試験の血液サンプルは通常検査で採取される血液をがんの早期段階に検出されるCTCを感知できるCMxというアッセイにより処理している。

   本試験の結果、大腸内視鏡検査または生検により前癌病変またはステージI-IV大腸がんと診断する方法では620人の患者うち438人(前癌病変の患者が111人、早期大腸がんの患者327人)の患者が大腸がんであると診断された。この診断率を基準にしてリキッドバイオプシーによる診断の特異度、感度が測定されている。

   その結果、リキッドバイオプシーにより健常者であると診断された特異度は97.3%(95%信頼区間:93.7-98.8)、偽陽性が出る確率は3%未満と非常に低い確率であることを示した。また、前癌病変患者におけるCTCの検出感度は76.6%(95%信頼区間:67.9-83.5)、ステージI-IV大腸がん患者におけるCTCの検出感度は86.9%(95%信頼区間:82.8-90.1)を示した。

   以上の特異度、感度を考慮するとリキッドバイオプシー検査による前癌病変またはステージI-IV大腸がんの検診の正確性は非常に高く、便潜血検査よりも正確性に優れる検査方法であることが証明された。

   今後は、台湾でも証明されたCTCを検出するリキッドバイオプシーの有用性をアメリカ合衆国でも再現し、大腸がんだけでなく乳がん、肺がん、前立腺がんなどその他固形がんへWen-Sy Tsai氏らは応用する予定である。

   以上の試験の結果を受けて、ジョンズ・ホプキンズ大学・Ashish Nimgaonkar氏は以下のようなコメントを述べている。"最近の研究によれば、大腸内視鏡検査に対して消極的な患者の約80%は便潜血検査よりも血液検査による診断を好む傾向があります。また、いくつもの臨床試験の結果よりスクリーニング検査を拒む1番の理由は検査費用であることが自明ですが、今回診断率の正確性が証明されたリキッドバイオプシー検査は100ドル未満で実施可能である安価な検査方法であります。"

Prospective clinical study of circulating tumor cells for colorectal cancer screening.(ASCO-GI2018,Abstract No,556)

山田創
製薬企業、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターに転身。

[がん情報サイト「オンコロ」2018年1月23日より転載]
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