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アトピー性皮膚炎は注射で治す時代へ? 中等〜重症の患者に朗報

湿疹などの皮膚病変と持続する激しいかゆみに悩まされるアトピー性皮膚炎に、従来とは全く異なる治療法が登場した。先週発売された新薬はアトピー治療に新時代をもたらすのか。

アトピー患者に新たな選択肢が生まれる(画像はイメージ)
アトピー患者に新たな選択肢が生まれる(画像はイメージ)

注射という全く異なる治療法

先週4月23日にアトピー性皮膚炎の治療薬としては初めての抗体医薬品(生物学的製剤)が日本でも発売開始となった。この薬は、IL4、IL13というかゆみの誘発やバリア機能低下、炎症の促進などをもたらすサイトカイン(細胞間の信号)について、そのシグナル伝達を阻害する新たな作用を持つデュピルマブ(商品名:デュピクセント皮下注300㎎シリンジ)。注射による治療というこれまでとは全く異なるアプローチのアトピー性皮膚炎治療薬だ。
皮膚の乾燥や亀裂、湿疹といった病変と持続する激しいかゆみによって、眠りが妨げられ、疲労に繋がることから、日中の眠気や仕事への支障などの日常生活の様々な場面に影響をもたらすアトピー性皮膚炎。増悪・寛解を繰り返す慢性の炎症性皮膚疾患のため、特に中等〜重症度ともなると患者の苦痛も甚大で、QOL(クオリティオブライフ)の低下が問題となることが多い。
従来はステロイド外用剤などによる治療が中心となってきたアトピー治療だが、毎日毎日塗り続けるには手間がかかり、長期間の使用になるケースが多いことや、いわゆるステロイドへの拒否感情を持つ人も少なくないことが知られてきた。

症状・見た目に有意な改善をもたらす新たな選択肢

今回の新薬は初日に600mgを皮下に注射、その後2週間ごとに300mgを注射するというもので、対象は「既存治療で効果不十分」だった成人のアトピー性皮膚炎患者とされている。
治験においては、投与開始後16週で、かゆみを測るNRSスコアが半分以上の人で改善、見た目などから診断する各部位の湿疹面積・重症度示す指数EASIスコアが75%以上改善した人も7割近くを占めるなど有意な改善がみられている。

「注射一本で?」とにわかに色めき立つようだが、原則的にステロイド剤や保湿剤との併用が勧められており、小児や妊婦への安全性は確立していない。副作用については頭痛やアレルギー性結膜炎などの報告があり、他のアレルギー性疾患を併発している場合は症状急変に十分注意する必要がある。また、上記の皮膚病変の程度を測るIGAスコア、EASIスコアなどを測ることが求められることから、アトピー性皮膚炎の診断および治療に精通している医師を受診することが肝要だ。
既に、2年前からアメリカ、欧州などでは次々と承認され、今年1月に日本でも承認されたばかりのこの新薬が、新時代を開くのかが注目される。

[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

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