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ナッツ類の摂取量が多い大腸がん患者は摂取しない患者に比べて無病生存率(DFS)、全生存率(OS)は高い 医学誌『Journal of Clinical Oncology』より

2018年2月28日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてナッツ類の摂取量とステージ3大腸がん患者の再発率、死亡率の関係性について前向きに検証した観察試験の結果がDana-Farber Cancer Institute・Temidayo Fadelu氏らにより公表された。

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本観察試験とは、術後化学療法の無作為臨床試験であるCALGB89803試験に登録されていたステージ3大腸がん患者(N=826人)に対してナッツ類の摂取量についてのアンケート調査を実施し、主要評価項目としてナッツ類の消費量別の無病生存率(DFS)、無再発生存率(RFS)、全生存率(OS)などを検証した前向き試験である。

なお、木の実、ピーナッツなどのナッツ類の消費量、1回を1オンス(=28.3495グラム)として下記のように登録患者を5つの群に分けている。ナッツ類を摂取しない群(N=145人)、月に1回未満の頻度でナッツ類を摂取する群(N=98人)、月に1回から3回の頻度でナッツ類を摂取する群(N=211人)、週に1回の頻度でナッツ類を摂取する群(N=214人)、1週間に2回以上の頻度で摂取する群(N=158人)の5群である。

各群の患者背景はそれぞれ下記の通りである。年齢中央値はナッツ類を摂取しない群は64歳(54-70歳)、月に1回未満の頻度でナッツ類を摂取する群は60歳(52-69歳)、月に1回から3回の頻度でナッツ類を摂取する群は58歳(50-67歳)、週に1回の頻度でナッツ類を摂取する群は59歳(51-69歳)、1週間に2回以上の頻度で摂取する群は62歳(53-69歳)。

1日当たりの摂取カロリー中央値はそれぞれ、1624kcal、1547kcal、1692kcal、1755kcal、2162kcal。1日当たりのカフェイン摂取量中央値は140mg、164mg、163mg、160mg、146mg。1週間当たりのアルコール摂取量中央値は0.2g、3.3g、9.7g、9.7g、21.9g。BMI中央値は28.7kg/m2、27.7kg/m2、28.7kg/m2、28.8kg/m2、27.9kg/m2。以上のように、ナッツ類の摂取量が多い患者群は摂取カロリーの総量も多い傾向を示したが、BMI中央値は他の群に比べて高くはなかった。

本試験のフォローアップ期間中央値6.5年時点(術後化学療法終了後より)における結果、ナッツ類摂取量別の主要評価項目である無病生存率(DFS)、無再発生存率(RFS)、全生存率(OS)はそれぞれ下記の通りである。なお、下記結果はCox回帰分析により年齢、性別、腫瘍の広がり・大きさ、リンパ節転移の有無などの患者背景を調整している。

無病生存率(DFS)のハザードリスク比はナッツ類を摂取しない群を基準にした時、月に1回未満の頻度でナッツ類を摂取する群は1.02(0.66-1.57)、月に1回から3回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.71(0.48-1.04)、週に1回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.69(0.47-1.02)、1週間に2回以上の頻度で摂取する群は0.58(0.37-0.92)。ナッツ類を摂取しない患者に比べて1週間に2回以上の頻度で摂取する患者は統計学的有意に無病生存率(DFS)を改善した(P=0.03)。

無再発生存率(RFS)のハザードリスク比はナッツ類を摂取しない群を基準にした時、月に1回未満の頻度でナッツ類を摂取する群は1.13(0.70-1.82)、月に1回から3回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.83(0.54-1.27)、週に1回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.75(0.48-1.15)、1週間に2回以上の頻度で摂取する群は0.70(0.42-1.16)。ナッツ類を摂取しない患者に比べて1週間に2回以上の頻度で摂取する患者は無再発生存率(RFS)を改善するも統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.15)。

全生存率(OS)のハザードリスク比はナッツ類を摂取しない群を基準にした時、月に1回未満の頻度でナッツ類を摂取する群は0.91(0.56-1.49)、月に1回から3回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.64(0.42-0.98)、週に1回の頻度でナッツ類を摂取する群は0.54(0.34-0.84)、1週間に2回以上の頻度で摂取する群は0.43(0.25-0.74)。ナッツ類を摂取しない患者に比べて1週間に2回以上の頻度で摂取する患者は統計学的有意に全生存率(OS)を改善した(P=0.01)。

また、サブグループ解析結果ではナッツ類の種類別の摂取量(木の実またはピーナッツ)について解析しており、木の実の摂取量は無病生存率(DFS)、全生存率(OS)を明らかに改善する傾向を示した。そのハザードリスク比は木の実を摂取しない群を基準にした時、1週間に1回以上の頻度で木の実を摂取する群は無病生存率(DFS)のハザードリスク比0.54(95%信頼区間:0.34-0.85,P=0.04)、全生存率(OS)のハザードリスク比0.47(95%信頼区間:0.27-0.82,P=0.04)、それぞれ統計学的有意に改善する傾向を示した。なお、ピーナッツの摂取量は無病生存率(DFS)、無再発生存率(RFS)、全生存率(OS)のどの値にも統計学的有意な改善を示さなかった。

以上の観察研究の結果より、Temidayo Fadelu氏らは以下のような結論を述べている。

ナッツ類の摂取量はステージ3大腸がん患者の再発率、死亡率を統計学的有意に改善することを示しました。もちろん、本試験の調査方法は患者の自己申告によるアンケート法に基づくものであり、またナッツ類の摂取量とステージ3大腸がん患者の再発率、死亡率との因果関係を証明したわけではありません。しかし、本試験の結果は大腸がんのリスク因子として食生活が深く関係しているという既存の仮説を支持することになるでしょう。

がん情報サイト「オンコロ」2018年4月20日より転載]
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