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【ブラックペアン解体新書①】医療監修 渡邊剛医師が徹底解説 "インパクトファクター"とは何か?

出世の材料になるが、理由はそれだけではない

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そんな渡邊医師の論文も『The Lancet』を初め、海外の医学雑誌に数多く掲載されている。まさに高いインパクトファクターを持っている医師のひとりだ。
しかし、なぜそんなにもインパクトファクターにこだわるのだろうか? 心臓外科医は緊張の毎日だ。心臓というデリケートな部分への手術、常に命と向き合う治療だけでも身も心も磨り減ってしまいそうだ。そこに論文を書く時間などあるのだろうか?

「時間を確保するのは正直大変です。寝る間を惜しんで書いている人もいます。でも、そこまでしても書く理由があるんですね。大きく分けるとその理由は2つあります。
ひとつは"明快な目的"がある場合。これは、教授選であるとか出世したいといった目的を指します。よくテレビでも大学病院の教授選みたいなシーンが描かれますよね。最初は数名候補がいるのですが、最後に2名ぐらいに絞られてくる。そこで評価の対象になるのが、学術論文、手術の実績、またその手術の内容です。学術論文に関しては、先ほど言ったインパクトファクターが大きな評価となります。どこに掲載して、どんな内容でどれだけ引用されたのか、ということが評価の中心になる。外科は内科と違って、手術の実績もありますが、論文をどれだけ書いたかかということが大きな評価、価値になるわけです。
もうひとつは、非常に珍しい、レアな疾患やレアな術式を経験したので、義務としてね、多くの人にその事実を知らせたいと思って書く場合もあります。
また、自分の心臓外科医としてのモチベーションをキープするために書く人もいます。外科医として、論文を書く事も大事なことだと思っている人は、誰に言われずとも論文を書きます。意外と思うかもしれませんが、そういう使命感を持っている医師は意外と多いんですよ。私はそういう若い医師にもそうあってほしいと思うので、大学病院時代は後輩にも論文を書く事をよく勧めていました」
(渡邊医師)

ドラマで描かれるように、これらは彼らの出世や思惑に利用されることもあるかもしれない。しかし、多くの場合は、新しい治療法として、他の医師にも読まれることで広まり、医療の進歩や普及に役立っているのだ。
"インパクトファクター"は、単なる出世のポイントという視点だけではない。そんな視点も合わせて、ぜひドラマもみてほしいものだ。

注1:テレビウォッチャー 2018年4月28日発表

医師・専門家が監修「Aging Style」

【渡邊剛先生プロフィール】
1958年生まれ、東京都出身。手塚治虫作品の主人公、天才外科医ブラックジャックに憧れ医師を目指す。金沢大学医学部卒業後、金沢大学・第一外科勤務後、ドイツ・ハノーファー医科大学留学。2000件にわたる心臓手術を経験し、日本人として最年少の32歳で心臓移植執刀医となる。帰国後、日本初の人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術「OPCAB」や手術支援ロボットを導入した心臓手術など世界の最先端医療を取り入れ世界のベストドクターにも選ばれている。患者の負担が少ない手術を追及し続け「天使の手」とも称される天才心臓外科医。金沢大学第一外科教授を経て、現在、ニューハート・ワタナベ国際病院の総長を務める。
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