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悩む人が増えている男性医療と不妊 辻村晃先生(順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科 先任准教授)

日本独特の性の悩み

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塩谷 患者さんはほかに、どんな悩みがありますか。

辻村  最近は、精子には問題なくても、性行為がうまくできないことで、妊娠できない悩みを持つご夫婦も増えています。

塩谷 うまくできないというのは、どういうことでしょうか。

辻村 EDが原因だったり、意欲がなかったりなど、原因はさまざまです。最初はセックスへの意欲はあったのに、勃起できない、射精できないなど、一度うまくいかなかったのがトラウマになり、それ以後、性行為ができなくなったという例もあります。

塩谷 どのくらい増えているんですか?

辻村 アンケートによる調査ですが、約20年前には3%だったのが、現在は13%まで増えたという報告がありました。
でも、不思議なことに、そういうご夫婦は仲が悪いかというと、そうでもないんです。性生活はうまくいかないけれど、子どもが欲しいと望まれて来院される方も実際にいらっしゃいます。

塩谷 そういうご夫婦にはどう治療されるのですか。

辻村 まずは事情を伺って、自然妊娠を望まれるか、人工授精を望まれるかを選択していただきます。近年は、人工授精を選択するご夫婦もめずらしくありません。 今、体外受精で生まれてくる子どもは、24人に1人と言われていますから、人工授精はもっと多いと思います。

塩谷 私が代表を務めるアンチエイジングネットワークで2015年の秋に4000人くらいの男女を対象にアンケート調査したところ、「加齢により気になるライフスタイルは何ですか?」と聞いたところ、性生活を選択した割合は、平均で男性7%、女性は1.8%しかありませんでした。日本人は海外に比べ性生活の意識が低いなと思いました。

辻村 今、日本の婚姻カップルの45%はセックスレスと言われていますが、それでも、夫婦仲は良く、離婚に至らないケースはたくさんあります。これがもし海外だったら、即離婚につながるでしょうけどね。

塩谷 米国の抗加齢医学会は、学会で議論される内容の3の1はセックスに関連した内容ですから、それを見ても意識の違いは大きいことがわかりますね。

辻村 世界の中で、日本は極端にセックスの回数が少ないと有名です。海外の先生から「なぜ、日本人は少ないのか」と聞かれるのですが、いつも返答に困ります。そういう民族というしかない。あとは、住環境の問題もあると思います。同じ寝室に子どもが寝ていて、セックスをする雰囲気になれないなどは、よく聞かれる悩みです。

塩谷 例えば、セックスがうまくできない原因が「パートナーを魅力的に思えない」という理由だったら、泌尿器科では治療は難しいですよね。いわゆる媚薬みたいなものはないんですか(笑)?

辻村 残念ながら、ありません。よく女性に勘違いされるのは、「バイアグラを飲んだら、男性はムラムラして意欲が高まる」ということ。実際は、そんなことはありません。バイアグラは酵素の阻害剤で、性的な刺激や興奮があったときの勃起力に差が出る薬です。効果は、3〜4時間です。最近は36時間効果があるシアリスという長時間型の薬もあります。
でも、その間に何も性的な刺激や興奮がなければ、何事もないままです。

この記事の監修・執筆医師

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