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【ブラックペアン解体新書②】医療監修 渡邊剛医師が徹底解説
"佐伯式"手術は、実際にもあるのか?

実際に存在する!? いや、現代医療はそれ以上の領域に

危険が伴う手術なため、"禁忌"とされていたこともあるという。実際に佐伯式とは呼ばれていないが同じ手術法は存在しているのだ。
しかも、渡邊医師は2週間前に、この佐伯式とほぼ同じ方法で、僧帽弁の手術を行ったのだというから、驚きだ。

「私もいろいろな手術を経験していますが、10年ぐらい前から佐伯式とほぼ同じ方法の手術は行っています。ただ、そんなに頻繁にできる手術ではありませんから、2014年にニューハート・ワタナベ国際病院に来てからまだ3例しか行っていません。トータルで何例かはわかりませんが適応は年1例くらいです。心筋がかなり傷んでいて、この方法しかないな、という場合の選択です。
心臓は動いたままでもリスクを伴いますが、オフポンプの止めた状態でもリスクがあります。心臓を動かすさい、勢いよく血管から血液が流れるときに、血管に付着していたコレステロールなどが飛び、脳血管障害、腎機能障害、出血、重度の不整脈などを合併する可能性もあります。特に、傷んでいる心臓の場合、それ以外にも損傷が大きくなる可能性があるため、心臓を動かした状態の手術を選択するわけです。実際に行うときには、心臓は止めませんが、カリウムなどを調節して、脈を遅くして、冬眠に近い状態にして行います。
ドラマでも二宮さん演じる渡海先生の手術の正確性と早さにフォーカスが当たっていますが、これは本当にそうです。開心時間は短ければ短いほどさまざななリスクは低下できます。渡海先生の描き方はそういう点では間違っていませんね」

渡邊医師は、脳血管障害などのリスクをより低くするために、心臓を止めないオフポンプ手術から、さらに先を行く『アウェイク手術(自発呼吸下心拍動下冠動脈バイパス術)』に挑み、日本で初めて成功させている。このアウェイク手術は、言葉通り、目が覚めた状態で行う手術だ。全身麻酔ではなく、胸に局部麻酔を打ち、患者は目が覚めた状態で心臓手術を受ける。全身麻酔ができない患者や、脳血管障害の危険がある患者などには、手術中、患者の状態を確認しながら手術を受けるメリットがあるという。
現実の心臓外科手術はドラマ以上にもっとすごいことになっているのだ。

次回『ブラックペアン解体新書』は、ドラマの第5話から登場するロボット手術について詳しく伺うことに。今回、ロボット医療監修として参加している渡邊医師だからこそ語れるロボット手術の今について、たっぷりお届けする予定です。

医師・専門家が監修「Aging Style」

【渡邊剛先生プロフィール】
1958年生まれ、東京都出身。手塚治虫作品の主人公、天才外科医ブラックジャックに憧れ医師を目指す。金沢大学医学部卒業後、金沢大学・第一外科勤務後、ドイツ・ハノーファー医科大学留学。2000件にわたる心臓手術を経験し、日本人として最年少の32歳で心臓移植執刀医となる。帰国後、日本初の人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術「OPCAB」や手術支援ロボットを導入した心臓手術など世界の最先端医療を取り入れ世界のベストドクターにも選ばれている。患者の負担が少ない手術を追及し続け「天使の手」とも称される天才心臓外科医。金沢大学第一外科教授を経て、現在、ニューハート・ワタナベ国際病院の総長を務める。
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