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トップアスリート担当医師から学ぶ、ケガ・疾患に負けないスキンケア 上田由紀子先生(ニュー上田クリニック院長、国立スポーツ科学センター)

体育の授業やプールでも日焼け止めを使うべき

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塩谷 ほかにどんな疾患が多いですか?

上田 水虫、タムシ、イボなど。細菌、真菌、ウイルスなどによる感染症です。
意外に知られていないのですが、レスリングの競技は、体重計に乗る前に、医師によるメディカルチェックがあり、感染症があると出場できません。試合前に既定の体重まで減量をしていると、体に負担がかかるので感染症にかかりやすくなります。ですから、選手の多くは、試合の前に皮膚科を受診して感染症がないか、チェックしています。

塩谷 野外で行う競技だと、紫外線の問題もありますね。

上田 その通りです。紫外線をたくさん浴びると体が疲れて、パフォーマンスが落ちます。免疫力も落ちるので、ヘルペスなどの病気が出やすくなります。しかも、日焼けで体がヒリヒリしている状態ではマッサージが受けられず、筋肉の疲れもとることができません。

塩谷 日焼け止めの使用について、教育現場での理解は進んでいるんでしょうか。

上田 昔に比べればだいぶ進んできたと思いますが、まだ遅れているほうだと思います。化粧品がNGという学校は、いまだに日焼け止めが禁止されているところもあるでしょう。また、プールの水が汚れるという理由で禁止しているところもあるようです。
その状況を変えようと、2015年9月に日本臨床皮膚科学会と日本小児皮膚科学会が共同で、学校生活における紫外線対策の指針を発表しました。実験データを確認し、日焼け止めで水質汚濁になる心配はないことも明らかになりました。学会の先生方による普及活動のおかげで、東京都内はほとんどの学校で日焼け止めNGではなくなったと思います。
屋外の部活動でも日焼け止めの必要性はあまり考えられてきませんでした。実際、2008年に高校野球の選手たちを調査したときには、日焼けに対する意識は、先生も生徒も高くありませんでした。

塩谷 プロのスポーツ選手では、どうですか。

上田 日本女子サッカーチーム「なでしこ」の選手たちは、リーグ発足当時は、みんな紫外線の影響など気にしていませんでした。その他の競技でも、以前は男女問わず日焼け止めを使っていない選手が多かったのですが、今は選手やトレーナーの意識が変わりました。「日焼け止めを塗ったほうが楽」だと実感したのだと思います。10年くらい前からは、顔だけでなく足や腕など肌を露出している場所には必ず日焼け止めを塗るように指導しています。
日焼け止めの効果は、ほかにも期待されていて、高校生の部活動における例ですが、日焼け止めを全身に塗って練習をしたところ、前年よりも熱中症や皮膚の奥が化膿する蜂窩織炎(ほうかしきえん)が減ったという報告がありました。

塩谷 運動選手に指導する際の、スキンケアの基本は?

上田 運動選手に限ったことではありませんが、「洗う」、「保湿」、「紫外線予防」の3つの柱があると考えています。
スキンケアは肌のケアだけでなく、心のケアでもあるというのが私の信念です。毎日、自分で肌のコンディションを確かめ、きちんと同じケアをすることによって、心の状態も把握できる。それが、ケガや病気の予防にもなると考えています。

この記事の監修・執筆医師

上田 由紀子
上田 由紀子(うえだ ゆきこ)

ニュー上田クリニック院長、国立スポーツ科学センター

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