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今どきちょっと足を運びたくなる美と健康のイベントとは?
中編「集客の鍵」【抗加齢医学会レポート④】

前回に引き続きご紹介するのは今注目される最新医学とメディアのコラボ企画。第18回日本抗加齢医学会総会でもう一つ開催されたのは「市民公開講座」でした。
1300人がホールを埋め尽くしたそのイベントの成功の鍵は、楽しみながら「最新かつ専門的な医療・健康ソリューション」と「親しみやすい日々の工夫」そして「将来構想」までを手に入れられる企画にありました。

  登壇した森下竜一教授、松井一郎大阪府知事、山田秀和会長(第18回日本抗加齢医学会総会 市民公開講座より)
登壇した森下竜一教授、松井一郎大阪府知事、山田秀和会長
(第18回日本抗加齢医学会総会 市民公開講座より)

いま議論された最新医療情報を即出し
そして地元の将来構想「健康都市宣言」まで

5月27日(日)学会総会の最終日に行われた市民公開講座は「100歳現役時代の到来 生涯、若く、美しく! すぐに役立つ最新・アンチエイジング習慣! 80代になっても、趣味や旅行を満喫したい! 健康人生の最新情報を公開!」という盛沢山のタイトルを冠して、家庭画報ビューティーウェルネス講座との協賛企画として行われました。
冒頭、「先ほど終了したばかりの第18回日本抗加齢医学会総会で発表された最新の内容などを、皆様に分かりやすくそのままお伝えできればと思いやってまいりました」と挨拶したのは学会の会長を務めた山田秀和教授(近畿大学アンチエイジングセンター副センター長、奈良病院皮膚科)

山田教授「近年、基礎的な研究がどんどん進んでいます。健康長寿には運動、食事、精神の3つの条件が重要と今まで言われていましたが、プラスして環境も非常に重要である事がわかってきました。例えば、先日ノーベル賞をとった研究はサーガディアンリズムという光の変化による身体への影響に関するものです。光をコントロールするだけでも、もっと元気に健康的になれる可能性があります」

医師の立場で壇上から呼びかけた山田教授と大阪大学森下竜一教授(日本抗加齢医学会並びに日本抗加齢協会副理事長)の二人とともに鼎談に臨んだのは、地元大阪府の松井一郎知事。
知事自らがなぜ大阪か、なぜ今医療・健康なのかと語りかけました。

松井知事「大阪の人は平均寿命が全国平均より遥かに短く、健康寿命も下から数えた方が早い。健康診断もなかなか受けてくれません。だからこそ、健康・ウェルネスサイエンスという分野で、大阪を拠点にして、健康で長生きに挑戦しようと思いました」
「日本の技術、サービスによって、高齢になっても寿命まで元気で健康的に過ごせる方法を生み出し体系化し、"日本ではこういった健康に関する議論がされている"とか"日本はこういう方法で健康長寿を実現した"という具体的な内容をここ大阪から積極的に世界中に発信したい」

松井知事がこう語る背景には、近隣に京都や奈良など日本有数の観光地を控える大阪では、海外の方から訪れる人が増加の一途。2011年当時157万人だった訪日外国人数が2017年には実に約7倍の1011万人になり、その多くがリピーターとして定着している現実があるからだと言います。更には2025年の万国博覧会に大阪府として名乗りを上げていることから、「大阪が健康医療をキーワードにした産業、サービスの中心地であるという形を作る」と鼻息も荒いのです。

森下教授「松井知事から、入るだけで10歳若返る『マイナス10歳館を作ってほしい』とお願いされて困っているんです(笑)。大阪万博が実現すれば3000万人の来場者が見込まれ、さらに、世界中にバーチャルリアリティやネットワークでつながって50億人が観ると想定されています」

地元の未来図はニュースなどでは聞くことはあっても、なかなか直に聞く機会は少ないもの。この将来構想はこの場で「大阪発 健康都市宣言!」と打ち出されました。

緩やかな糖質制限、血糖値測定、気功、そして...
具体的ソリューションを親しみやすく

食べ方と血糖値について解説する山田悟医師と城戸真亜子さん
食べ方と血糖値について解説する山田悟医師と城戸真亜子さん

一方、将来構想に関する真剣な討議だけではなく、切れ目なく続いたのは楽しみながら取り入れられる具体的なソリューションでした。 取り上げられたのは空前のブームになった糖質制限。その中でも緩やかな糖質制限を提唱し、栄養素はキチンと摂りながら無理なく健康に糖質を制限する方法を提唱する山田悟医師(北里研究所病院糖尿病センター長)が、医学的な解説で糖質を制限しない場合のリスクと糖質制限の実践法を示しました。

山田悟医師「血糖が急激に上下すると、スパイク(とげ)となって体の細胞を痛めつけるため、なるべく血糖値を上げにくいものから順番に食べた方がよく、糖質を食べるまでに少なくとも15〜20分は時間をかけた方が良いです。また、朝食にタンパク質や脂質をしっかりとっておくと、昼食や夕食の時に血糖値が上がりにくくなります。更に、油は新鮮であれば、動物性、植物性問わず体にいいという事がわかってきて、以前のように油は体に悪いといった時代ではなくなってきているのです」

具体的には、タレントで洋画家の城戸真亜子さんとともに実際の食事と血糖値のデータを重ね合わせて紹介。例えば、空腹時に最初から糖質の多いものを食べた時の血糖値の上がり方などリスクが高い食べ方とその解決法を解説したり、簡単に血糖値を測れる機器を紹介したり、とすぐに取り入れられる方法が分かりやすく示されました。

健康法や中国の詩を披露したジュディ・オングさん
健康法や中国の詩を披露したジュディ・オングさん

そして、最後に特別ゲストとして登場したジュディ・オングさんも「気功」を取り入れた健康術を披露し、中国の詩人劉海粟の「餐々七分飽 事事対人好 為善最快楽 健康活到老」という詞を、中国語を交えて解説。「食を七分目で満足し、人に対して好ましくし、善を尽くすことは最も気持ちの良いことで これらを実行して健康に歳をとりましょう」という内容は、まさしく今学会で議論された医学/医療に通ずるアドバイスで、会場ではメモを取る参加者が目立ちました。

誰もが知るタレントや女優さんが示す日々の工夫は、やはり参加者を飽きさせない大きなポイント。そこに確かな最新医療情報が裏打ちをすることで深みを出す。そんな工夫が、ともすると難しく感じられる医学・健康情報を一気に身近になるイベントに変換させているのです。実際に主催側の手ごたえはどうだったのか。次回に続きます。(取材/文 継田治生)

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