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「今欲しいのはリアルな情報」足を運びたくなる美と健康のイベントとは?
後編【抗加齢医学会レポート⑤】

インターネット上には医療・健康情報が溢れ、ほしい情報が簡単に手に入れられる今、なぜわざわざイベントに足を運ぶのか。第18回日本抗加齢医学会総会最終日に行われた「市民公開講座」。主催の学会と共催した家庭画報の担当者にはその理由と確かな手ごたえが感じられたと言います。多くの人を集めた最新医学とメディアのコラボ企画から、その注目を集める理由は何かを深掘りします。

的確で確証のある、信用できる情報が必要

1300人の参加者が会場を埋め尽くした(第18回日本抗加齢医学会総会 市民公開講座より)
1300人の参加者が会場を埋め尽くした
(第18回日本抗加齢医学会総会 市民公開講座より)

前回詳報した通り、「市民公開講座」で人気を博した内容は「最新かつ専門的な医療・健康ソリューション」と「親しみやすい日々の工夫」そして「将来構想」といった幅広いものでした。会場を訪れた人は当日参加100人を含めた1300人。これまでのこの学会で行われた市民公開講座の新記録になったとのこと。地元大阪からの参加者は62%を占めたものの、それ以外にも兵庫、奈良、三重、といった近隣県のみならず東京から訪れた人も多く、大半がこのイベントのためにわざわざ足を運んだのです。

日本抗加齢医学会と共催した家庭画報編集部(㈱世界文化社)の鹿田みちこ副編集長によると最近の読者の傾向とイベントの参加者増加の理由は合致すると言います。

「今回の参加者の90%は女性です。主婦に限らず、会社務めの方、経営者も多く参加しています。もともと家庭画報の中心読者は、50代女性が中心です。子育てする母であり、夫の世話をする奥様、親の介護をする娘でもあり、嫁という立場もある。家族、周辺の健康にとても責任を感じています。更に自分も更年期という心身の節目を迎えて、もっとも大変で、しかし、精一杯自分の人生も楽しみたい世代です。だからこそ、的確で確証のある、信用できる情報が必要と考え、生活に積極的に取り入れられる情報を求めているのです。」

求められているのはHow Toではない

実際に、用意した糖化を測るブースには長蛇の列ができ、会場で販売した関連書籍は完売、アンケートにも熱心な文字が並んだのです。
・人生を輝かせるためにも、本気で勉強したい、実際に直接話を聞きたい
・生き方を含め、体と心に向き合うきっかけになる
・心身の不調が気になる、自分のことを理解したい
・人生100年時代。まだ道半ば、アンチアイジングはこれからの日本に必要 など

回答からは参加者が単なる方法論、How Toだけを求めているのではないことがわかります。世の中の求める変化を家庭総合婦人誌の立場で敏感に感じたからこその企画内容が受け入れられたと手ごたえを率直に語る鹿田副編集長。

「老人、加齢という概念の変わり方。年齢に左右されることのない個人の人生の楽しみ方や人生現役でいかに過ごすかという模索。医療費の問題も実感しているからこそ、いかに良い医療を受けるかではなく、いかに病気を予防するできるか、という考え方の変化を感じます。更には、自分と向き合い、もう一度人生を考えなおし、どのようにこれから輝かしい人生を送ろうかという"人生への向き合い方"がかわってきた証ではないかと思います。」

今求められているのは、エビデンスに裏付けられた真実の情報、最新の情報や自分で活用できる情報、或いはまだエビデンスがなくても真摯な研究過程の末の仮説に至るまで。これはまさしく今、学会で議論されたばかりの内容そのものということなのです。
これまでも各学会では総会の度に啓蒙活動の一環として市民公開講座を開催しています。ただ、多くは特定の病気やその分野に興味がある人のみに届くイベントという性質でした。 今回は何が違うのか、医師の立場から今学会総会の会長を務めた山田秀和教授にもうかがいました。

「医師・医療者は最新の医療・健康情報を持っています。でも伝える術となると弱い。メディアからの取材を待っているようだと必ずしも取り上げられるとは限らないし、正しく伝わるかという不安もあります。一般の方も病気になるまで最新の情報に直接触れられないのはもったいないですよね。一般の方も決して難しい医療情報を避けているわけではない。むしろ十分に理解したいという熱心さを感じました。今回のようにメディアと一緒に親しみやすくわかりやすい形を作り上げ、それぞれの媒体の強みを生かして伝えてもらうことによって、より広く一般の方に正しい医療情報を届けることができ、健康に寄与できることを実感しました。」
「学会で議論されたばかりの最新の情報をお伝えしたい」と呼びかける総会会長山田秀和教授
「学会で議論されたばかりの最新の情報をお伝えしたい」と呼びかける総会会長山田秀和教授

山田教授によれば、特に研究段階の情報に関しては、必ずしも最終的に真実かはわからないので、「研究段階である」という前提を踏まえ、専門的知識をもって全体的な視点で解説できる専門家が必要で、そういった専門家と話し合える場が求められているとのこと。
今学会で行われた二つのイベントからは、多くの一般の人が医療の枠を超えて生き方や人生のヒントまでを提示されることによって、自ら動き出したことが明らかになりました。医学界とメディアがそれぞれの強みを生かして対等の立場で作り上げる新しい形が始まっています。(取材/文 さえき文香)

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