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【ブラックペアン解体新書⑥】ドラマ医療監修から考える 医療従事者とメディアとの関係とは?

ドラマだけでなく、テレビと医療のつきあい方

ドラマ制作側の声を聞くと、医療ドラマには、①フィクション重視で医療関連の作業動作など部分的に指導を依頼するもの、②原作があり、原作者がきちんと医療取材をして、それをより補い、さらに動作指導を行うためにつけるもの、③脚本家やたびたび医療者に取材をして、脚本を作り上げていくもの、の大きく3つがあるという。

手間はかかるが、③は医療現場の生の声を取材してくれるため、医師としても納得できる脚本が多いという。最近の成功例でいえば、TBSの『アンナチュラル』やフジテレビ『コールド・ブルー』などは取材が綿密だったという声をよく聞く。医療的な意見が生かされ、脚本も非常に濃密なものに仕上がり、人気を集めた。医療従事者が医療監修として参加するなら、③がやりがいを持ってできるものなのかもしれない。

今回、治験コーディネーターの表現問題などに抗議が起こったが、SNSでは放映中にオンタイムで、実際の治験コーディネーターや医療現場のスタッフなどから、描き方への違和感が数多く上がった。中には、「医療監修がついているのになぜ?」という声まであがっていたのだが、今回のように、ストーリーやキャラクター設定には関与できない医療監修も少なくない。また、ドラマ制作サイドは、抗議が来ても、「フィクションなので表現は自由である」というスタンスを採る場合も多い。医療監修者側に、なんともいえないモヤモヤ感が残ってしまうことも多いようだ。

手術支援ロボット「ダビンチ」
手術支援ロボット「ダビンチ」

これはドラマだけではない。
最近多い健康番組に関しても、出演したことがある医師が「自分が思っていることと違うことが拡大化されてしまった」と不信感を抱くケースが増えている。伝えたいコメントはカットされ、番組が言ってほしいことだけクローズアップされることも。また、バックについているクライアントによって、「これは言わないでください」という事前お願いが来ることも少なくないという。

メディアのスタッフがみな医療に詳しいわけではない。医療を医療と考えず、視聴率が取れれば"トンデモ"でもいいと思っているケースすらある。医療サイドは正しい情報を世の中に配信するために、と考えていても、メディアサイドはそう考えてないこともままあるのだ。
そう考えると、医療従事者は、医療監修や出演などの依頼がきた場合は、慎重になることも大事だ。事前に取材があり、思っている意図を組んでくれるメディアなのか。さらに、伝えたい想いについて、きちんと放映、掲載する意思があるか、しつこいぐらい確認をする。

治験コーディネーターの仕事を誤解した視聴者がいたように、一般の人たちは、メディアの情報を鵜呑みにしやすい部分がある。だからこそ、メディアに対して少し慎重に関わることも必要なのかもしれない。

一方、視聴者として見ている側も、名医が出ている、医療監修がついている、と思うと、100%信頼できる情報だと捉えがちだ。もちろん、真摯な姿勢で作っている番組もある。だが、そういった制作側の姿勢は、なかなか明確には見えてこないものだ。しかも、メディア情報は、"トンデモ"であればあるほど無意識に刷り込まれやすいという特性がある。だからこそ、100%鵜呑みにせず、「一部を切り取っているだな」という前提のもと観ることが、身を守る手段になるのかもしれない。

医師・専門家が監修「Aging Style」

【渡邊剛先生プロフィール】
1958年生まれ、東京都出身。手塚治虫作品の主人公、天才外科医ブラックジャックに憧れ医師を目指す。金沢大学医学部卒業後、金沢大学・第一外科勤務後、ドイツ・ハノーファー医科大学留学。2000件にわたる心臓手術を経験し、日本人として最年少の32歳で心臓移植執刀医となる。帰国後、日本初の人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術「OPCAB」や手術支援ロボットを導入した心臓手術など世界の最先端医療を取り入れ世界のベストドクターにも選ばれている。患者の負担が少ない手術を追及し続け「天使の手」とも称される天才心臓外科医。金沢大学第一外科教授を経て、現在、ニューハート・ワタナベ国際病院の総長を務める。
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