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進行がん患者の精神的負担を軽減する新しい精神療法であるCALM、うつ症状の指標であるPHQ-9スコアを統計学的有意に低減する 医学誌『Journal of Clinical Oncology』より

2018年6月29日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行がん患者に対する精神的負担を軽減する新しい精神療法的介入法であるCALM(Managing Cancer And Living Meaningfully)の有効性を比較検証した第III試験(NCT01506492)の結果がPrincess Margaret Cancer Centre・Gary Rodin氏らにより公表された。なお、CALMとは進行がん患者に対するうつ病、終末期の苦痛緩和を目的にした精神療法である。

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本試験は、進行がん患者(N=305人)に対して精神科医、ソーシャルワーカー、心理学者などの専門家による1回45分から60分の精神療法であるCALMを3ヶ月〜6ヶ月実施する群(N=151人)、CALMを実施しないUC(Usual care)群(N=154人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9;以下PHQ-9)評価による抑うつ症状の重症度を比較検証した第III相試験である。なお、本試験ではPHQ-9スコアが8以上の患者より重症として定義している。

本試験に登録された患者背景はCALM群、UC群それぞれ下記の通りである。年齢中央値はCALM群59.05歳に対してUC群59.1歳。性別は男性60%(N=90人)に対して60%(N=92人)。人種は白人84%(N=127人)に対して84%(N=129人)。既婚者は72%(N=108人)に対して71%(N=109人)。中等後教育率は82%(N=123人)に対して84%(N=129人)。

進行がんの種類は乳がん13%(N=9人)に対して13%(N=8人)、肺がん16%(N=24人)に対して12%(N=18人)、肉腫(サルコーマ)5%(N=7人)に対して6%(N=10人)、悪性黒色腫(メラノーマ)2%(N=3人)に対して2%(N=3人)、内分泌腺腫瘍3%(N=5人)に対して3%(N=5人)消化器がん26%(N=39人)に対して26%(N=40人)、婦人科がん22%(N=33人)に対して27%(N=41人)、尿路生殖器腫瘍18%(N=27人)に対して16%(N=24人)。Karnofsky Performance Status(KPS)は80.00に対して79.90。PHQ-9スコア8以上は43%(N=65人)に対して44%(N=68人)。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である3ヶ月時点のPHQ-9スコアはUC群7.01に対してCALM群5.97、CALM群で統計学的有意にPHQ-9スコアを-1.09減少(95%信頼区間:0.04-2.13,P=0.04) した。

また、6ヶ月時点のPHQ-9スコアはUC群6.64に対してCALM群5.35、CALM群で統計学的有意にPHQ-9スコアを-1.29減少(95%信頼区間:0.24-2.35,P=0.02)) した。

以上の試験結果よりGary Rodin氏らは以下のように結論を述べている。"進行がん患者に対するCALMは抑うつ症状を緩和し、今後癌患者が直面する苦痛に対処できる方法である可能性が本試験より示唆されました。"

[がん情報サイト「オンコロ」2018年7月9日より転載]
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