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百歳まで生きる〜祝福か呪いか?〜

最近「ライフシフト」という本が評判になっている。
イギリスの経済学者と心理学者が書いた本で、原著は「THE HUNDRED-YEAR LIFE」という。最近発表された統計では、2007年生まれの人たちが百歳まで生きる確率は50%だという。現在の百寿者は100人に一人。
それに対しての備えはあるのか?
これまでのように人生を「学習→仕事→引退」というかっちりと3ステージに分ける考え方を改めねば、というのがこの本の趣旨である。問題は今までは仕事期という胴体に、尻尾のようにぶら下がっていた引退期が、胴体と同等かそれ以上に延長してしまったからである。
その現実に慌てふためいて、百歳という長寿をとんだ天災のように受け止めては申し訳ない。新たな活躍のステージとして歓迎しましょうというのがこの本の趣旨のようだ。

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各ステージでさまざまな選択を迫られます

話の都合上、これまでの3ステージを①学習→②仕事→③引退と数値を振っておく。この図式はすでに崩れつつあるというのが著者の指摘だ。問題は③をどう受け止めるか、活用するかということになるが、これは③だけの問題ではないという。
まず、③に入って新たな仕事を始めるということは、最近は技術の革新もあるため、②の延長線上ではなくてもう一度新たに①から始める必要もある。つまりそれまでの経験を生かした顧問的な立場はあまり役立たなくなり、AIなども念頭に入れた、新たな学びが必要になるだろう。
また①についても、最近の若者というか18〜30歳の年齢層の傾向として、なかなか②に進まず、①でグズグズと選択肢を弄ぶ傾向もある。一方①のうちに②も始めるというツワモノも多く見聞きする。つまり、単純に①のステージと割り切れないのだ。
さらに女性の社会進出とともに、出産、子育てといった女性の立場を考慮した雇用形態も生まれつつある。それに合わせ、男性の雇用形態も影響を受けつつある。
従来は①から②に進む際に一大決断が求められ、それによって③までほぼ確定し、一生の終着駅まで決定されてしまった。一旦レールに乗ってしまえば、その先の他の選択枝を失う代わりに、迷うこともなく、終着駅までの到達が保証された時代だった。
著者らはこれを「シングルステージ」の仕事の形態と呼び、これからは各人の都合に合わせた、「マルチステージ」の仕事の進行形態へと変化させる必要があると著者らは考えている。マルチステージというのは、各人が一つのステージで終わりにせず、さらに新たなステージを展開していくことと、社会の中で各人が年齢にかかわらず、色々なステージを並行して進めることを意味するようだ。
つまり、ステージは年齢とは無関係になっていく。そして、既にそのようなステージを生きている人も増えている。個々人の意識の変化も必要だが、企業というか社会の根本的な構造改革が必要とされる。企業の人事部にとっては悪夢の形態と言えるかもしれぬ、と著者らは言っている。それだけではない、こうなった場合、各人が自分を見つめ直すことが求められる。
何が大切で、何のために自分の一生を計画するか。

しかも各ステージで、その都度選択を迫られる。それを大儀と感ずるか、チャレンジと受け止めるか?これからの世代の課題と言える。

そして僕自身は?
オン歳86。だが、著者らの考えからいえば年齢は関係ない。
医師という職業のありがたさで、退職してからもなんとなくダラダラと現役を引きずって、今日も医学医療の世界にいる。
だが、ここで過去のステージは一旦区切りをつけて、新たな仕事のスタイルを編み出す必要があるようだ。
つまり著者らがいうマルチステージである。
具体的には週間スケジュールを体力と周囲の状況に合わせて按分し、、複数のステージというかプロジェクトを並行して、無理なく進めていく。
言うは易しいが、いざ実行となると・・・
でもなんか試してみたくなっている。

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 ウィメンズヘルスクリニック東京 名誉院長

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