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食欲中枢に作用するアナモレリンが消化器がんの「がん悪液質」に有効な可能性
第16回日本臨床腫瘍学会学術集会

7月19日〜21日に開催された第16回日本臨床腫瘍学会学術集会にて、「消化器がんに伴う悪液質に対するONO-7643(アナモレリン)の第2相試験(ONO-7643-05試験)」の結果が、杏林大学医学部付属病院の古瀬 純司医師より発表された。

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がん悪液質は、がんに伴い食欲不振及び体重減少(主に筋力量の減少)が発症する複合疾患であり、がん患者の約70%に発現し、肺がんや消化器がん患者で認められる。

また、悪液質はがん患者のQOL(クオリティーオブライフ;生活の質)を著しく低下するにも関わらず、現在、がん悪液質に対する有効な治療法は存在せず、アンメットメディカルニーズの高い領域(治療満足度が低いにもかかわらず、治療法が確立しておらず、必要性が高い領域)となる。

がん悪液質の臨床的な診断基準は以下の通り。

①体重5%低下
②体重2%低下しているが、BMIは20%より少ない低下
③体重2%低下しており、サルコペニア(身性の筋量の低下を特徴とする症候群。従来、老化に伴うものが多いとされている)を伴う
*上記、①〜③のいずれかと共に経口摂取不良/全身炎症を伴う

アナモレリンは、胃で産生される「空腹ホルモン」と言われているグレリンに類似した構造を示しており、低分子グレリン様作用薬の一種となる。食欲中枢に作用することによる『食欲増進と摂食量増加』および脳の視床下部・下垂体に作用することによる成長ホルモン(GH)の増進とインスリン様成長因子(IGF-1)の増進による『タンパク合成の増進と筋肉量の増加』が期待できるとされる。これまで、非小細胞肺がん患者の体重増加やQOL改善への寄与が示されてきた。

本試験は、6か月以内に5%以上の体重減少が認められた進行消化器がん患者を対象に、アナモレリン100mgを1日1回12週間にかけて内服使用したときの除脂肪体重(LBM;脂肪以外の体重)などを確認したものになる。今回、大腸がん40名、胃がん5名、膵臓がん5名の系50名が参加した。

結果、解析可能な49名のうち31名(63.3%)において除脂肪体重の減少が認められなかった。がん種ごとにみると、大腸がん61.5%(24/39名)、胃がん40%(2/5名)、膵臓がん100%(5/5名)で減少が認められなかった。

また、ベースラインに比べ12週後の除脂肪体重上昇は平均1.89倍とし、先に行われた非小細胞肺がんの臨床試験(ONO-7643-04試験)の結果である1.38倍と比較しても遜色なく、1週、3週、6週、9週、12週と経時的に除脂肪体重変化を見ても同じような2つの試験は同じような経過をたどっている。

さらに、QOLやIGF-1等のバイオマーカーにおいても、同様に同じような経過をたどっていることがみられ、おおよその再現性が認められる傾向にあるといえる。

一方、有害事象は42.9%(21/49名)に認められ、グレード3以上は10.2%(5/49名)に認められた。グレード3の有害事象では2型糖尿病が3名認められているが、いずれも大腸がんの患者であったとのこと。

以上のことから、古瀬医師は「アナモレリンは、非小細胞肺がんだけではなく消化器がんにおいても、がん悪液質を有する患者さんの有効な治療のオプションになりうる」と結論づけた。

(JSMO2018;SPS-9;消化器がんに伴うがん悪液質患者におけるONO-7643の有効性および安全性を確認すための他施設非盲検非対照臨床試験)

がん情報サイト「オンコロ」2018年7月24日より転載]
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この記事の監修・執筆医師

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