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「妬み」と「幸福」

幸せを妨げるものとして、「妬み」にかなうものはない。
幸福感をもたらすものにまず「安らぎ」をあげることができるが、その心の平和を脅かすのが「妬み」である。ちょうど体内に巣食う黒い毒グモのように、心を滅ぼしていく。

他人と比較せず自分のものさしで生きる
他人と比較せず自分のものさしで生きる

妬みはどうして生まれるのだろう?
それが人間の進化に何の役に立つのだろう?
そして「妬み」を感じるときは脳のどの部分が活性化しているのだろう? 報酬系や扁桃体は無縁ではあるまい。
そしてその時分泌されホルモンは? ドーパミンあるいはオキシトシンあたりか。
確かなことは、「妬み」は他人との比較から生ずるということだ。
他人がどうあれ、己が足るを知れば、生じないはず。
また、幸せを妨げるものとして「競争」が挙げられるが、「嫉妬心」と「競争心」は双子の兄弟のようなものだ。
だが、「競争心」は「向上心」につながり、人類の発展に寄与してきたと言える。

一口に妬みと言っても関わる事柄はいくつかに分かれるし、男女ではそのこだわりが異なる。
まず、容姿。
さらに所有物。
そして地位。
昔、身分社会の時は、初めから格差が前提になっていたので、諦めはつけやすかった。だが民主主義の時代は万民平等が建前となり、一人だけ突出することは許されなくなった。いや反対に、妬み心を抑えるために民主主義が生まれたという見方もあるようだ。

「妬み」から解き放たれるには、「幸せ」であることが必要だ。今の自分に満足していれば人を羨むこともなくなる。反対に「妬み」から解放されれば「幸せ」になる。このように妬みと幸せの因果関係は両方向に働くと言える。
だがそうなると困るのは例えば広告業界であろう。
他人との比較で購買欲を掻き立てるのが務めの一面だからだ。
化粧品がいい例である。
「より」美しく、と自社製品による解決をアピールする。何もせぬは怠慢と「不安」を掻き立てる。
だがその「より」は今の自分「より」だけでなく、広告を飾るタレントやモデル「より」にもなりうる。しかしそのフォトは全て修正済みである。つまり絶対に到達できぬ目標を掲げて、消費者を蟻地獄に陥れる。

現役時代は競争社会にどっぷり漬からざるを得ない。だが、人生の午後になればそれらのしがらみは薄れていく。そろそろ他人の尺度でなく、自分の尺度、価値観で行動すべきではなかろうか。
それが「幸福」なのではなかろうか。

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 ウィメンズヘルスクリニック東京 名誉院長

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