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脂肪幹細胞の可能性は?【第8回 細胞再生医療研究会から】

第8回 細胞再生医療研究会
第8回 細胞再生医療研究会

この10月に20周年を迎える「神戸医療産業都市」。阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸の復興事業として始まり、今や国内最大の医療産業クラスター(産業集積地)に成長した。その神戸市の甲南大学ポートアイランドキャンパスにおいて、8月25日(土)「第8回 細胞再生医療研究会」が開催された。

7年前に第1回が開催されたこの研究会では、毎年、再生医療の専門家による最先端の研究発表や意見交換が行われている。8回目の開催となった今年は、近年、再生医療のための細胞源として注目を集めている間葉系幹細胞に焦点を当て、基礎研究から創薬開発・臨床応用まで幅広い領域における最新事例や今後の展開をテーマとしたシンポジウムやセミナーが行われた。

市橋正光先生
市橋正光先生

今回はDAA(アンチエイジング医師団)の理事で、この研究会の代表世話人を務めるアーツ銀座クリニックの院長も務める市橋正光・神戸大学名誉教授による臨床症例報告をご紹介する。「自己脂肪幹細胞で明らかな運動機能回復を示した脳卒中の1例」として、同院が昨年9月に厚生労働省の認可を得て開始した「自己脂肪由来間葉系幹細胞を用いた脳血管障害治療」の実施例である。実際には2症例が提示された。脳卒中患者を皮下脂肪由来の自己脂肪幹細胞の点滴注射で治療する方法で、麻痺状態の上下肢の運動機能の改善や、皮膚血流量が増すなどの効果が治療終了後直ちに見られた。少ない経験ながら、2臨床例で治療前後の比較映像も交えて報告された。

クリニックでは脂肪幹細胞医療治療チームとして、最初の症例は、昨年11月、患者本人から採取した皮下脂肪を自己血清で約3週間培養し、12月と今年1月の2回に分けて点滴治療を行なったところ、いずれも治療後2時間ほどで明らかな運動機能の改善が認められたという。2症例目は、患者さん自身が皮膚感覚と運動機能の急速な改善に驚いていた。

この結果を受け、今後同院では治療と並行して、幹細胞で生成・分泌されるエクソソーム(exosome)や微小小胞体(microvesicles)の作用の解析のほか、エクソソームの安定的で効果的な供給方法の確立も視野に、基礎研究者との共同研究を開始している。今回発表した2症例については今後の追跡評価が重要であり、今月行われる治療6ヶ月後の機能評価、さらには1年後の機能評価と、中長期的な機能評価を実施する予定だ。

日進月歩の細胞再生医療における新たな治療の試みとして、今後の展開に期待したい。

医師・専門家が監修「Aging Style」

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