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機能性関与成分は欠乏症のない新しい栄養素?科学的根拠に疑問はあるが制度には一定の評価!〜我が国における機能性表示食品の問題点と今後の課題〜

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第40回日本臨床栄養学会総会 (会長:大荷満生氏(杏林大学医学部 高齢医学)と第39回日本臨床栄養協会総会(会長:大澤繁男氏(一般社団法人日本臨床栄養協会 常務理事))が10月6日〜8日に東京都の虎ノ門ヒルズで合同開催され、2日目の7日には「我が国における機能性表示食品の問題点と今後の課題」と題したセッションが開催された。座長は人間総合科学大学人間科学部の橋詰直孝教授と一般社団法人健康食品規格協会の池田秀子理事長。

まず、橋詰氏が日本における食品の機能性研究と機能性表示の歴史を1984年の文部省「食品の機能性研究」から解説した後、消費者庁食品表示企画課の赤﨑暢彦課長、東京農業大学,応用生物科学部の清水誠教授、そして科学ジャーナリストの松永和紀氏がそれぞれプレゼンテーションを行った。

消費者庁食品表示企画課 赤﨑暢彦課長
消費者庁食品表示企画課 赤﨑暢彦課長

この中で、清水教授は「外来物である食物と人間の間に進化の過程で形成されたインタラクションがある」と食品の原点に触れた後、機能性表示食品制度誕生直前に行われた、「食品の機能性評価モデル事業」にも言及。この時に初めて、公に食品の機能性研究の文献レビューが行われ、予想に反してある程度の食品の機能性研究が科学的にも認められた事が驚きであったと述べた。また、農産物の機能性表示食品に関しては「機能性農産物は歓迎だが、制度的には機能性表示食品制度とは分けた方がいいのではないか?」と述べた。

また、松永和紀氏は機能性表示食品制度に関して、「公的なリソースを大きく使わず、食品の3次機能を求める人に提供したこと」「3次機能をうたう食品の安全性と機能性、品質等に関して一定の尺度を社会が求めるレベルで提示し、情報を集約して一般市民に広く公開したこと」をもってして、自主的かつ合理的な商品選択に資する表示制度であるとして非常に評価するし、これにより業界のレベルは間違いなく上がったと述べた。

東京農業大学,応用生物科学部 清水誠教授
東京農業大学,応用生物科学部 清水誠教授

しかし、一方で機能性表示食品として届けられている中には「こんなエビデンスで表示をしますか?」といったものや、広告表現において「こんなエビデンスでここまでうたいますか?」といったものが散見されるといった問題点を指摘、事例を出して、群間差なしで群内比較だけでの評価のものや、糖の吸収抑制効果では13人の被験者、60分後しか統計学的な優位さがないもの、さらには被験者16人を4群に分けた試験では、1群4名で立証している試験に疑問を呈し、さらに、広告に関しても景表法に基づく厳しい判断が増えている現状において、機能性表示食品の景表法違反が今後さらに出てくる可能性もあるとした。

また、飽和脂肪酸(SAF)を知らずにEPAやDHAを語る消費者をに対しても、消費者教育の面から大きな課題が残るとした。

科学ジャーナリスト 松永和紀氏
科学ジャーナリスト 松永和紀氏

その後行われたパネルディスカッションでは、赤崎課長が松永氏の指摘に反論する形で口火を切り、「機能性表示食品制度は完璧なものではなく、現時点でも玉石混合であることは理解している。一方で、情報公開によって1400以上の届け出のうちすでに97件が撤回されているといった事を見ても、事後チェック制は一定の機能を示していると思う。この制度は最初から小さく生んで大きく育てるのではなく、運営の中で改良を重ねてより良い制度にしていくといった趣旨でスタートしている。もちろん、まだまだ不十分ではあるが、消費者にも企業にもプラスになる制度に育てて行ければと思う」と述べた。

[斬新な視点から健康・食・運動スポーツに関する情報を発信するWebマガジン「HealthBrain」2018年10月10日より転載]

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